広島の開幕投手、大瀬良に託した 佐々岡監督キャンプ前日に明かす
広島の佐々岡真司監督(52)は31日、今季の開幕投手を大瀬良大地投手(28)に託すことを明かした。開幕戦は3月20日に本拠地マツダスタジアムで行われる中日戦。2年連続の大役を任された右腕で3年連続開幕星を飾り、V奪還へ突き進む。この日は2月1日から始まる春季キャンプに向け、1軍の首脳陣、選手、スタッフが宮崎県日南市に入った。
信頼の証しだ。投手にとって栄誉の一つである開幕投手を、佐々岡監督は春季キャンプ前日に明かした。就任1年目。V奪還と日本一という命題に突き進むシーズン。投手陣は大瀬良を軸に歩むというメッセージでもある。
「伝えてある。昨年、開幕投手をした(から)。エースとして、そういう気持ちで引っ張っていってほしい。当然、誰もが思っていることだから」
自身は現役時代、4度の開幕投手を務めた。当時、春季キャンプ前に伝えられたこともあった。大黒柱としての自覚を強くする一方で、開幕から逆算して調整できるメリットがあった。指揮官は総合的に判断し、昨年末に電話で伝えた。
大瀬良は電話をもらった日のことを、今もはっきりと覚えている。「携帯に着信があって『開幕を頼むぞ』と言っていただいた。まさかそんな時期に言ってもらえると思っていなかったので。背筋がピシッとなりました」
シーズンのスタートを切る大事な一戦。背番号「14」も当然、目指していた場所だ。初めて大役を務めた昨季は巨人を相手に8回7安打無失点、11奪三振。快投を演じてチームに白星をもたらした。「特別なマウンドだった」。開幕戦でしか味わえない独特の興奮と緊張感。その中に身を投じたことが、その後の成長曲線を後押しした。だからこそ「この経験を譲りたくないと思った」と力を込めた。
1月の自主トレでは、球数こそ少ないものの例年より多くブルペン入り。シンプルなフォームの習得に励んできた。試行錯誤を重ねた結果、傾斜を使った投球で上半身と下半身の連動性がかみ合わないと判断。今キャンプでは昨秋に封印した2段モーションを解禁し、3月20日の中日戦を目指し調整していく。
昨季は3年連続2桁の11勝をマークした。「プランを立て、明確にしてその日を迎えたい。優勝、日本一へ向けて良いスタートが切れるような投球をしたい」。エースは真っすぐと前を向いて言葉を紡いだ。指揮官の熱い思いを受け止めた大瀬良が、2年連続2度目の開幕マウンドへ上がる。