広島・松山 不動の5番デモ ランチ特打で16発「あとは確実性の部分」
「広島春季キャンプ」(2日、日南)
広島の松山竜平外野手(34)が2日、ランチ特打で今季のテーマに掲げる長打力を存分に示した。79スイングで2度の3連発を含む16本の柵越え。首脳陣は4番・鈴木誠に続く5番として期待を寄せる。不本意な成績に終わった昨季の悔しさを糧に、不動の5番としての地位を築き上げる。
乾いた打球音が日南の青空に響き渡った。豪快なスイングから放たれる放物線にスタンドから、どよめきと歓声が注がれる。この日のランチ特打で主役の座を奪ったのは、文句なしに松山だった。
鋭いスイングで快音を連発し、打球は悠々とオーバーフェンス。出色は63スイング目から65スイング目、67スイング目から69スイング目にかけて見せた2度の3連発。圧巻の“ショータイム”にスタンドは騒然。同じ組で打撃練習を行っていた鈴木誠や新外国人・ピレラをしのぐほどの破壊力で、朝山打撃コーチは「100点満点」と絶賛した。
松山本人は飛距離、長打力へのこだわりを示しつつ「あとは確実性の部分」と冷静さを忘れない。打球にバックスピンをかけることでの飛距離アップを狙っており、逆方向への鋭い当たりも見せた。「ずっと振り込んでいたので、その分はあると思う」とオフ期間の取り組みに、一定の手応えをつかんでいる。
昨季は「5番・一塁」で開幕を迎えたものの、不調もあって前半戦は打率・190で折り返した。後半戦で持ち直したが、打率・259、6本塁打、49打点と苦しんだ1年だった。「去年の成績もあるし、春先の成績も見直して。何か変えないといけない」と現状打破に燃える。
チームは大黒柱の鈴木誠を4番に据える構想。だからこそ、昨季首位打者と最高出塁率の“二冠”に輝いた男の前後を打つ打者が、打線の命運を握る。朝山打撃コーチは、松山の5番に「可能性は高い。(今の状態を)いかにキープできるか」と背番号55に期待を寄せる。
相棒となるバットは現在、オリックス・吉田正モデルを松山仕様にアレンジしたものと、従来の自身のバットでグリップエンドを削ったものの2種類を使用。その取捨は「まだ迷っている」とし「もしかしたら、使い分けることもあるかも」と併用する可能性を示唆した。再起を図る20年シーズン。南国の地に架けたアーチが、復活の号砲になる。