広島 バティスタ退団と松山の出遅れが野手陣の競争に拍車 北別府氏が分析
プロ野球の開幕が新型コロナウイルスの影響で延期となった。キャンプ、オープン戦で激しいレギュラー争いをしていた広島の野手陣は、開幕が延期されたことでバトルが延長されたことになる。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は、サビエル・バティスタ外野手の退団や松山竜平外野手の故障離脱が、結果的に野手陣のチーム内競争に好影響を与えたとみている。
ドーピング違反で日本野球機構(NPB)から6カ月間の出場停止処分を科されていたバティスタの契約解除が2日に発表された。3年間で62本塁打を放った大砲の退団は大きな戦力ダウンであるが、北別府氏は「バティスタは投手からみると調子のいい時は怖いバッターだ。ただ、ドーピング問題が起こり他の選手からすれば一塁や左翼のポジションがあくと考える。チャレンジャーとして守る位置があれば、刺激にもなる」と野手陣にとってプラスに作用したとみている。
特にキャンプでのシート打撃、紅白戦、練習試合で本塁打を放ちアピールした高橋大樹外野手は、バティスタがいなかったことで発奮し大きな成長につながった。「目標とする守備位置があるから目の色が変わったと思う。ドラフト1位で入ってきて、同期の鈴木誠也への思い、ライバル心もあるだろう」と分析。加えて緒方監督から佐々岡監督に変わったことで「チームのカラー、イメージも変わった」とし、監督交代が長野や野間らと左翼のポジションを争う新戦力の出現を後押ししたとも考えている。
7日のオープン戦・西武戦から1軍に復帰した松山の離脱もプラスに作用した。「松山がキャンプ中に腰痛で離脱したのはチームにとって誤算だった。投手からみて長打のある松山が5番にいると嫌なものだ」という。その一方で堂林や安部にもレギュラーのチャンスが訪れた。「松山が故障してその枠を自分が埋めるという選手たちがいることで松山もウカウカできないという気持ちになる。お互いがレギュラーを勝ち取ろうと切磋琢磨(せっさたくま)することでレベルアップもできる」と、競争意識が野手陣に好結果をもたらしたという。
出遅れた松山は西武3連戦で3試合連続安打、7打数4安打と貫禄の打撃を披露した。レギュラーに最も近い位置にいるが「使える選手の人数が増えた。右投手、左投手の使い分けもしていくだろうし、それだけの戦力がいる」と野手陣の充実を認めた。
1月に成人T細胞白血病であることを公表した北別府氏は、復帰に向け入院治療中。現在は化学療法の第2クール終盤を迎えている。