広島、超攻撃型打線だ!1番長野、2番ピレラ…佐々岡監督「シーズンでもある」
「オープン戦、ヤクルト(ノーゲーム)広島」(10日、神宮球場)
広島は10日、ヤクルトとのオープン戦(神宮)が二回裏終了時点で降雨ノーゲームとなった。存在感を示したのは、長野久義外野手(35)とホセ・ピレラ外野手(30)の新1、2番コンビ。一回、先頭から2者連続二塁打で幻の先制点を奪った。佐々岡監督はシーズン中も超攻撃型オーダーの編成を示唆。覇権奪回への新たなオプションとする。
ぐずついた神宮の天気とは対照的に、新たなコンビが快音を響かせた。開幕は延期となり、本番はまだ先にある調整段階。それでも首脳陣の期待度と信頼感は増し、敵軍には強烈なインパクトを植え付けた。長野とピレラの新1、2番コンビが躍動した。
初回だった。先頭の長野が1ボールからの2球目、ヤクルト先発・スアレスの甘い直球をジャストミートし、中越え二塁打で好機を演出。続くピレラはカウント2-1から右中間へ鋭くはじき返す適時二塁打で、二走・長野を本塁に迎え入れた。プレーボールからわずか6球。電光石火の速攻劇が、三塁ベンチを大いに盛り上げた。
この日組んだ、1番・長野、2番・ピレラの並びは2月29日の中日戦(ナゴヤドーム)以来、2度目の試み。オープン戦8試合で14打数2安打、打率・143と波に乗れていなかった長野は「やることをやるだけ。しっかり調整していきたい」と慢心することなくシーズンを見据えた。
本来の1、2番はチームの代名詞でもある田中広、菊池涼の“タナキク”コンビが基本線だ。だが、佐々岡監督は「シーズンでも、こういうこともあるのかな。(相手)チームや相手投手で、こういう野球もある」と公式戦でも超攻撃型オーダーを組む可能性に言及した。
バントをしないピレラを2番に置くことで、相手に簡単にはアウトを与えない。立ち上がりから相手に襲い掛かる攻撃パターンで、ビッグイニングにつなげる狙いもある。
一回はピレラの適時二塁打の後、3番・西川は一ゴロの進塁打で1死三塁とした。続く4番・鈴木誠の中犠飛で2点目。各自が打席での状況を踏まえて自身の役割を把握し、効率良く加点する攻撃は理想型とも言える。朝山打撃コーチも「きょうは100点満点」と褒めちぎった。
もちろん犠打や足を絡め、しぶとく1点を奪いにいく攻撃を捨てたわけではない。だが、この日の攻撃パターンが覇権奪回への新たな一手となる可能性は十分だ。変幻自在の赤ヘル打線が、開幕に向けて完成度を高めていく。