広島・大瀬良、心配無用 3・20幻の開幕戦4失点も…カーブ多投で新境地

 「練習試合、広島3-4中日」(20日、マツダスタジアム)

 広島は20日、中日との練習試合(マツダスタジアム)に3-4で敗れた。“幻の開幕戦”に先発した大瀬良大地投手(28)は7回を投げ7安打4失点。七回に集中打を浴びたものの、右腕は結果に悲観することなく内容に納得した表情を見せた。未定の開幕日に合わせる難しさがある中でシーズンを見据え、エースが着実に調整を重ねていく。

 限られた投手にしか味わえない緊張感の中で、腕を振るはずだった。当初の開幕日だった3月20日の一戦は延期となり、オープン戦同様この日も無観客の練習試合。「すごい緊張感で投げていたのかな…」と大瀬良は率直な思いを口にした。

 静寂に包まれたマウンドで7回7安打4失点。だが、心配はいらない。「結果ほど悲観していない」と話すように、舞台設定が本番から練習試合に変わったからこそ、試せたことがある。

 三者連続三振を奪った二回から、カーブを意識的に多投。直球とカットボール主体の右腕にとっては、新たなバリエーションだ。直球とカットボールで球種を絞られる状況に比べ「真っすぐの反応が違う」と効果を実感。打者がカーブを頭に入れるからこそ、直球で差し込める。さらに「早いカウントでアウトを取れる」と少ない球数でイニングを消化できる利点もある。

 実際この日は六回終了時で69球と、シーズンなら完投、完封を狙えるペース。緩急を駆使して二回から五回までは四球による走者のみに封じた。「最後まで投げ切りたいし、三振ゼロでもナイスピッチだと思っている」。カーブで投球の幅を広げる意図は、エースとしての自覚にもつながっている。

 七回は先頭・ビシエドの中越え二塁打を皮切りに4失点。不運な打球もあった中「厳しくいかなきゃ、いけなかった」と1ボールからの2球目が高めに浮き、ビシエドに痛打された場面を反省した。

 今季初めて打席にも立ち、1死一塁で迎えた五回の第2打席。相手の一塁手と三塁手がチャージを掛けると、それをあざ笑うように犠打の構えからバスター。高めの球を叩きつけ、投手への内野安打で好機を拡大させた。

 佐々岡監督は「緩急を使えていた。七回は投げ切れていないところもあったが、次の登板で修正してくれるでしょう」とエースへの信頼は揺るがない。“幻の開幕戦”で手にした収穫。大歓声の中でその成果を発揮する時が来るまで、大瀬良は準備を整えていく。

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