広島・高橋大、持ち味は積極性とパンチ力 12年度ドラフト誠也を抑えて1位指名
阪神のライバル5球団をチェックする開幕カウントダウン企画の第2回。広島担当記者の“推しメン”選手は高橋大樹外野手(26)だ。4番・鈴木誠と同じ12年度ドラフトで1位指名を受けて入団。プロ8年目を迎え、新たな戦力として台頭し、チーム力を底上げしている。昨季は自己最多の27試合に出場。勝負のシーズンと位置付ける今季は、持ち味の積極的なスイングとパンチ力で存在感を示している。
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初の開幕1軍はもう目の前だ。高橋大は春季キャンプから結果を残し続けてきた。今年で入団8年目の和製大砲。遅咲きながら、ようやく花を咲かせようとしている。
持ち味は積極性とパンチ力。象徴的だったのは3月1日、中日とのオープン戦(ナゴヤドーム)で放った2本塁打だ。2打席計4球を全てスイング。6月2日の阪神戦(甲子園)でも攻める姿勢は変わらなかった。2球目を左翼席に放り込んだ。
「チャンスが少ない」と常に危機感を持つ。分離練習中は朝山打撃コーチの助言を受け、中堅方向を意識した打撃練習で外角球への対応力を磨いた。同コーチは「初球から振っていけるのが強み。振れるから捉える確率が上がる」と目尻を下げる。
12年度ドラフト1位で、同期の2位が鈴木誠だ。入団直後の打撃練習では、そのスイングスピードの速さで2軍首脳陣をあっと言わせた。それでも順調な成長曲線を描いたとは言えず、故障や不調でどん底も経験。2軍戦で安打が出ず、戦力外通告を覚悟したことがあった。
18年4月30日の阪神戦(マツダ)で記録したプロ初安打は、耐えて放った一本とも言える。この試合を含め、28日からの3連戦は23日に死去した衣笠祥雄氏の追悼試合と位置付けられていた。鉄人は龍谷大平安(旧平安)の大先輩にあたる。13年1月には同校の原田監督の計らいで会食する機会に恵まれた。プレゼントされた色紙には「忍耐」の2文字。苦しくても前を向き続け、道を切り開いてきた。
昨年6月28日・DeNA戦(横浜)でのプロ初本塁打は、今季の開幕戦で対戦する今永から放った。まずは右の代打としての出場が高橋大の役割になりそうだ。お笑いタレントのほんこんに顔が似ていることから「ほんこん」の愛称で親しまれる長距離砲。力強い放物線を描き、カープのV奪回に貢献してみせる。(広島担当・市尻達拡)