広島・野村 今季初白星 テンポよく8回4安打無失点 両リーグ最短試合で最下位脱出
「広島2-0中日」(29日、マツダスタジアム)
やっぱり背番号19は頼りになる!広島・野村祐輔投手(31)が8回4安打無失点の好投で、うれしい今季初勝利。4年ぶりの完封勝利こそお預けになったが、チームは今季32試合目で初の完封勝ちを収め、最下位を脱出した。右腕がテンポの良い投球で今季両リーグ最短となる2時間16分ゲームを白星で演出した。
一塁ベンチ前にできた勝者の列。この日の主役・野村は列に加わると、佐々岡監督から肩をもまれて照れ笑いを浮かべた。8回4安打無失点で堂々の今季初白星。2時間16分という今季両リーグ最短の試合時間が、快投を物語っていた。
二回は先頭のビシエドを内角高めで詰まらせ三飛。続く高橋はスライダーで二ゴロに料理した。左右両打者の外角へ制球し「要所で内角を攻めて、詰まらせることができた」と納得顔。昨季6戦4勝1敗と好相性の竜打線を手玉に取った。
五回まで一人の走者も出さない完璧投球。六回、先頭の京田にバントヒットを決められノーヒットノーランは消えたが「集中力は途切れなかった」。七回は無死一、二塁でビシエドを三ゴロ併殺。最後まで崩れなかった。
好調の要因は「走者がいない時は自分のテンポで投げられるけど、走者が出ても(それを)変えずにできている」と自分のペースを維持できている点を挙げた。無四球投球。打たせて取って、アウトを重ねた。
プロ9年目で初の開幕2軍。5月には夏の甲子園が中止になった高校球児を思った。自身は07年に準優勝。「毎年(テレビで)流れることですから」と決勝戦で逆転満塁弾を浴びるシーンに苦笑い。だが、すぐさま「これから先の人生の方が長いし、うーん、難しいなぁ。前を向いて頑張ってほしい」と神妙に言葉を選んだ。自身が「感謝と悔しさを知った」と話す甲子園が今季初登板の場となり、再スタートの舞台だった。
明大の後輩・森下がプロ初勝利を挙げた際には、善波達也前監督が「あとは祐輔が(1軍に)上がってくればね」と野村の現状を心配し、1軍登板を待ちわびていたことからも、恩師を安心させる白星にもなった。
佐々岡監督は「ナイスピッチングだった。今日みたいな投球をしてくれれば、投手陣もピリッとしてくると思う」と最下位脱出を導いた右腕を称えた。「大地(大瀬良)も抹消された。全員で戦っていきたい」。リーダーとしての自覚を胸に、白星を重ねる。