広島・大瀬良、復活星!119球熱投7回1失点!!これぞエースだ
「広島2-1阪神」(8日、マツダスタジアム)
頼れるエースが戻ってきた!広島が阪神に連勝し、カード勝ち越しを決めた。コンディション不良からの復帰登板となった先発・大瀬良大地投手(29)は7回を5安打6三振1失点と粘りの投球でチームトップの4勝目をマークした。チームは今季初めて1点差ゲームに勝利し、守り勝つ野球を体現。赤ヘル軍団が上昇気流に乗ってきた。
アイシング姿でベンチを出た大瀬良は、白星の味をかみしめた。本拠地で鯉党から注がれる拍手。「チームに迷惑をかけて、ファンの皆さんに心配をかけた。元気な姿を見せて勝ちをもたらしたいと思い、投げました」。中14日の登板で温かい声援に感謝しながら腕を振った119球には、この男が「エース」と呼ばれる理由が凝縮されていた。
1点リードの二回、先頭の大山にソロを浴びたが、続くサンズ、ボーアを連続三振に斬った。直球で空振り、ファウルを取りながら多彩な変化球を交え「カーブが良かったかな」と緩い球で打者の虚を突いた。
最大のピンチは同点の七回だ。1死満塁で代打・福留を迎えたが、1ボールから137キロシュートで二ゴロ併殺打。「高さもコースも間違えることはなかった。ああいうアウトを取りたいと思って取り組んできた」。無失点で切り抜けると、普段は見せない渾身(こんしん)のガッツポーズ。「みんなが何か感じてくれればいい」とレアな感情表現はエースなりのメッセージだった。
7月25日に出場選手登録を抹消されたが、以降も1軍に帯同した。3軍でリハビリを行い、最短10日での復帰プランもあったという。だが、1軍の雰囲気から遠ざかる点に加え「若い投手が多いので、コミュニケーションを取る時間を増やしながら頑張ってほしい気持ちがあった。わがままを言って調整させてもらった」。常に仲間を思う気持ちは変わらない。
1週間のノースローで「オフでも1週間(ボールを)持たないことはない。頭の中でフォームチェックを毎日していた」と可能な範囲でベストを尽くしてきた。長崎県出身で広島に在籍しており、当然8月の6日と9日には「特別な思いがある」という。「メディアを通じて、若い子につながってほしい。忘れないようにしてほしいなと思い投げました」とうなずいた。
今季初の1点差勝利に佐々岡監督は「特に七回の姿。あの後に点を取ってエースで勝ったというのが大きい」と満足げに振り返った。取材後に「禁酒したかいがありました」と笑った大瀬良。チームトップの4勝目という“美酒”には、存分に酔いしれる夜となった。