グラウンドの詐欺師・達川氏が特殊詐欺被害防止訴え「だまされんようにしんさいよ」
広島カープOBで野球解説者の達川光男氏(65)が広島県警の特殊詐欺被害防止を訴えるポスターなどに起用されることになり、26日、広島市の広島県警察本部で会見した。
達川氏は「心の底から『だまされて欲しくない』という気持ちを込めて取り組ませてもらった。相手(犯人)は手強いので、ちょっと油断しただけで何もかも失ってしまう。そういう相手に打ち勝つためにはしっかりした気持ちを持つことが大切。最終的には県内の特殊詐欺被害をゼロにしたい」と力を込めた。
昨年も広島県警の特殊詐欺の防止イベントに参加したが、今年はポスターや音声メッセージを作成。音声メッセージでは「広島で特殊詐欺がはやっとるらしいで。ワシも現役時代はだいぶ相手チームをだましてきたが、特殊詐欺は犯罪じゃ。みんなだまされんようにしんさいよ」と呼び掛けている。県内のバスや路面電車、主要百貨店、JR広島駅、警察施設などに掲示したり、音声が流される。
今年の広島県内の特殊詐欺被害は、7月末までに90件が発生し、被害総額は約1億3000万円。同席した広島県警の光本憲秀生活安全部長から「現役時代、『グラウンドの詐欺師』と呼ばれていた達川さんのお力をお借りして撲滅に取り組んできたい」と期待をかけられると、達川節が全開。有名な“疑惑の死球”を振り返り、「みんな、私のことを詐欺師というけど、あれは体の近くを球が通った時に、ちょっと体に当たった感じがしたので審判にアピールしたら死球だと言ってくれた。ちょっとお伺いを立てただけ。だますつもりはまったくなかった」と釈明し、「私のはアピール。特殊詐欺は犯罪です」と別物であることを強調した。
さらに特殊詐欺を防ぐための心構えを問われると「普段からしっかりと準備しておくことが大切。野球も準備して(プレーを)予測しておくと、けっこううまくいくことが多い。先日、(カープの)森下が完封勝利を挙げましたが、新人でも完封できるんですから、皆さんも普段から“だまされないぞ”という気持ちを強く持っておけば、特殊詐欺は完封できると思います」と力説した。
また、特殊詐欺の犯人に対しては「いろんな事情があるかもしれないが、これは犯罪です。ぜひ心を改めてほしい」と呼び掛け、「私も65歳になり、高齢者となりました。コロナと特殊詐欺には十分に気をつけないといけない。どっちが怖いかといったらどっちも怖いです。皆さんも変な電話がかかってきたり変な人が来たら、ぜひ警察に電話して相談してほしい。知らない人もいるかもしれないので警察の電話番号も一応、言っておきます。110です。ここにかけてください」と、最後まで達川節全開で会見を締めくくった。