カープ森下、新人王へやり返せ 初の2桁被安打&2被弾も…指揮官はサポート約束
「広島2-5DeNA」(26日、マツダスタジアム)
広島の森下暢仁投手(23)にとっては痛い1敗だ。7回を投げ、自身初の1試合2被弾を含む自己ワーストの11被安打で4失点。勝てば新人王を争う巨人・戸郷と7勝で並んだが、今季3敗目を喫した。残り試合が少なくなってくるだけに、一生に一度の栄誉を獲得するためにも勝ち続けるしかない。
赤く染まった本拠地の声援が、最後まで背中を押してくれた。1万5160人が詰めかけた土曜日のデーゲーム。森下は「いつもと変わらず、応援してもらいました」。最後の七回を三者凡退で終えた右腕に注がれた、大きな拍手。それでも本人に笑みはない。7回11安打4失点。グッと唇をかみ、悔しさを押し殺すような表情でベンチに腰を下ろした。
序盤から制球に苦しんだ。初回は3番・オースティンへの内角球が大きく外れて死球。味方が2点を先制した直後の二回は、先頭・宮崎に左翼スタンドへソロを浴びた。普段ならバットに空を切らせるのが森下の直球。だがこの日はその球質が影を潜めた。際どい球はファウルで逃げられ、甘く入ると痛打されて野手のいないところに打球を飛ばされた。
四回は無死一、三塁で倉本に初球を左前に運ばれ同点。2死二、三塁から梶谷への4球目が暴投となってしまい、勝ち越された。「コントロールだったり、やってはいけない点数を与えてしまった」。ふさぐことのできた傷口だったからこそ、悔しさだけが募る。
今季6勝の右腕は同一リーグでDeNAにだけ未勝利。今季4度目の対戦で、またもや白星を奪えず強力打線の前に屈した形だ。五回にもオースティンに右中間へのソロを被弾。2桁被安打と1試合2被弾は、いずれもプロ入り初。「しっかりゲームを作らないといけない。次につなげたい」。新人王獲得へ、足踏みしているわけにはいかない。
ライバルの巨人・戸郷は現在7勝で27日の中日戦に先発予定。森下が勝てば白星で並んだだけに、痛い一敗ではあるが、残り試合を考えても挽回の余地は十分ある。
試合後、佐々岡監督は、勝ち星を付けるためにビハインドの展開ながら森下を七回も続投させたと説明。そしてチームの勝利を大前提と前置きした上で、「無理はできないけど、勝てるチャンスを与えないといけない」と新人王獲得へのサポートを約束した。
自身5連勝を逃したが「チームが勝てるように、ゲームを作っていきたい」と森下。敗戦を嘆く暇はない。歩みを止めず、激しいマッチレースを繰り広げる。