広島2年ぶり1イニング3発!大盛球団育成ドラフト出身史上初1号!夢が盛り盛り
「ヤクルト2-13広島」(3日、神宮球場)
広島が2年ぶりの1イニング3本塁打などで大勝。カード勝ち越しを決めた。七回に長野久義外野手(35)が先制ソロ、大盛穂外野手(24)がプロ初本塁打となる3ラン、松山竜平外野手(35)が2ランを放って一挙6点を奪った。大盛は育成ドラフト入団選手としては、球団史上初の本塁打となった。
スタンドの熱気を全身に感じた。これまで歩んできた道のりを振り返るように、大盛はゆっくりとダイヤモンドを一周した。本塁打を放った者だけに許される、誰にも邪魔されない自分だけの時間。球場全体の視線を集めたアーチは、念願のプロ初本塁打。球団の育成ドラフト入団選手が在籍時に本塁打を放つのは初で、旬の若鯉がチームの歴史に名を刻んだ。
一塁へ向かって懸命に走った。入るとは思わなかった。七回、1点を先制して、なおも1死一、二塁。大盛がスアレスの初球を振り抜いた。右翼スタンドギリギリに吸い込まれた記念の一発。「チャンスでしたし、何とか一本と思っていた」。三塁ベンチの前では鈴木誠と坂倉が飛び出し、野間が両手を大きく上げた。ナインそれぞれが、自分のことのように喜ぶ。「めちゃめちゃ、うれしかったです」と大盛。その景色が何より心に染みた。
期する思いが胸にはあった。前の打席までは3打席連続三振。消極的になりがちだが、気持ちを切り替えた。「(球を)見て、見てになるとまた三振してしまう。積極的にいった」と頭の中で邪念を振り払い、節目の一発につなげた。
大盛に3ランが飛び出した七回、攻撃陣に活気をもたらしたのは先頭・長野だった。スアレスのスライダーをバックスクリーン左へ運ぶソロ。4番・松山もバックスクリーンへ2ランを突き刺し、とどめを刺した。今季初、チーム2年ぶりの1イニング3本塁打で試合の主導権を一気に握った。
八回は打者11人の猛攻で一挙7点を奪い、終わってみれば17安打13得点。今季9度目の2桁得点で大勝。その中心に居たのは間違いなく、新たな切り込み隊長へと成長している大盛だった。
低迷するチームにあって、希望の光になる男は「僕の中では、1軍に上がった時の気持ちを忘れず、この一年をやりたい」とがむしゃらに今季を完走するつもりだ。貪欲に切り開いたサクセスストーリーは、まだまだ続いていく。