広島1位・栗林「森下に負けたくない」 対戦したい打者は岡本
「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が26日、都内で開かれ、広島は1位で栗林良吏投手(24)=トヨタ自動車=を単独指名し、交渉権を獲得した。最速153キロの社会人ナンバーワン右腕は、プロ1年目から1軍で活躍する森下暢仁投手(23)に対抗心を燃やし、新人王を目標に掲げた。先発でもリリーフでも高いレベルで力を発揮し、鯉投の救世主となる。
指名された瞬間、栗林は背筋を伸ばして真っすぐに前を見つめていた。何度も口にしたのは感謝の言葉。遠回りしたからこそ、大きくなって最高峰の舞台に身を投じることができる。赤いチームカラーはくしくも在籍するトヨタ自動車と同じ。「トヨタも同じ赤色のユニホームなので、ユニホームにはすぐになじめるのかなと、違和感なく入れるのかなと思います」と笑った。
心が奮い立つ人物がいる。プロ1年目ながら出色の活躍を続ける森下の存在だ。名城大3年時に大学ジャパンに選出され、当時明大2年の森下とともに戦った。同部屋だったこともあり「仲良くさせてもらっていたので、同じチームでプレーできるのはすごくうれしく思います」と縁を感じる。プロの世界で再び同じユニホームを着られることを喜びつつ「自分も森下に負けたくないと思います」と競争意識を燃やした。
森下は現在9勝を挙げ、今季のセ・リーグ新人王の筆頭候補。「森下だからこそ活躍できた。そういうところは見習って、たくさんアドバイスを聞きたい」と極意を吸収する構えだ。「森下は新人王争いをして、獲るんじゃないかという勢い。もし森下が獲ったなら2年連続で自分が獲れるように」と目標も掲げた。
名城大4年だった18年秋のドラフトでは指名漏れを経験。「2年前は諦めていたというのもあるので、今(の姿)は想像できなかったです」。名門・トヨタ自動車で牙を研ぎ、プロ野球選手になれた。過ごした日々が報われた。
対戦したい打者の一人には巨人・岡本の名を挙げた。「面識はないですけど、同級生として対戦したい」と勝負を心待ちにした。
先発もリリーフもこなせるのが強みで「こだわりがない」とキッパリ。チームは今季、投手陣の不安定さが露呈。現在5位に低迷する要因になっている。「与えられたという責任を持ってやっていきたい」と任された働き場所で腕を振る覚悟だ。
広島については「市民の方とか、ファンの方に支えられて野球をやっているチーム。自分もそこに貢献して、地域やファンの方に笑顔、勇気をしっかり与えられたら」。謙虚な苦労人が、悩める鯉投を救う。