【佐々岡カープ誤算と収穫1】確立できなかった勝利の方程式

 覇権奪回を目指し、佐々岡新体制で臨んだ2020年は52勝56敗12分けの借金4で5位に終わった。首位巨人とは13・5ゲーム差(12日現在)。接戦を勝ち切れなかった一年だったが、シーズン最終盤には粘り強さで白星を重ねた。今季の誤算と収穫を3回にわたって連載する。初回は勝利の方程式を確立できなかった投手陣を検証する。

  ◇  ◇

 接戦を勝ち切れなかった。1点差で勝利したのは9試合。一方で落としたのが13試合もあった。その4試合の差が、そのままチームの借金4と重なる。僅差の展開で競り勝つ戦力の整備と戦い方が今季、浮き彫りになった課題の一つだ。

 黒星が先行したシーズン序盤は、抑えを筆頭とした勝ちパターンを確立できなかった。開幕守護神を任せたスコットは6月21日、DeNAとの開幕3戦目(横浜)の九回に4連打を浴び、サヨナラ負け。3連勝発進を逃した。精神的にダメージを負った助っ人は7月2日のヤクルト戦(神宮)で村上に悪夢のサヨナラ満塁被弾。またしても白星が消えた。

 「1点を守り切る形を」。開幕前、佐々岡監督はこう力を込めていた。勝利の方程式メンバーを固定して戦い抜く構想だったが、開幕2週間で早くも崩れた。7月3日にスコット抹消後の抑えは日替わりだったが、それでも菊池保や一岡が打ち込まれた。

 「間に合うのか」。春季キャンプで指揮官がポツリと漏らしたことがあった。誤算はフランスアだ。実績と経験があるだけに期待は大きかったが、2月から調子が上がらない。オープン戦登板は2試合のみ。3月上旬には2日間だけであるものの発熱による体調不良で練習を休んだ。下半身のコンディション不良もあった。

 守護神の確立、固定はチーム最大の懸案事項だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、開幕が当初予定されていた3月20日から後ろ倒しになる中、佐々岡監督はノックバットを持った。全体練習後の特守は日課になった。守備練習でドミニカンの下半身を強化し、上半身に頼った投球を解消する狙いがあった。首脳陣も復調を期待し、必死だった。

 今季最終戦となった11日の中日戦(マツダ)の試合後、佐々岡監督は今季を総括した。中継ぎ陣の話題になると「ストッパーが決まらず、苦しい展開になってしまった」と話した。

 今季のフランスアは3連投が一度しかない。ベンチが起用法にも配慮した結果、シーズンが進んでも本来の力強さを保った。来季も抑え候補の最右翼であることには変わらない。スロースターターを返上することが求められる。

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