広島・中崎 守護神勝ち取る! 5800万円減…復活へ「秘めるものあります」

 広島の中崎翔太投手(28)が26日、広島市内の球団事務所で契約更改交渉に臨んだ。今季の年俸1億4500万から減額制限(1億以上は40%)いっぱいとなる5800万減の8700万円にサインした。9月に2年連続の手術となる「右後上腕回旋動脈瘤(りゅう)切除術」を受けた。回復は順調でこの日は、大野練習場で術後初めてブルペン投球をした。野球ができる事に感謝する右腕が、心身を充実させ復活を目指して前へ進む。

 顔を上げ、真っすぐ前を見つめたのが印象的だった。大減俸にも、中崎は決して視線を床に落とさなかった。胸にあったのは、野球ができる事への感謝の気持ち。もう一度、1軍に戻るための戦いが始まっている。

 「何もやっていないし、金額は仕方がない。2年連続で手術を受けて、まともに野球ができていない。今回の手術を経験して、すっきりした。また全力でプレーができる。そこが自分にとってはうれしいです」

 6試合で1勝0敗0セーブ、防御率9・00で終わった今季。9月には「右後上腕回旋動脈瘤(りゅう)切除術」を受けた。動脈が部分的に大きくなる“こぶ”を取り除いたのだ。

 投球への影響は数年前からあったという。痛みが出たり、登板翌日に腕が上がらなかった事もあった。「ここ2、3年は肩から汗が出ない症状が出た」。何とか状態を整えて投げ続けてきた。

 “こぶ”が破裂するような事があれば命の危険さえあった。「死ななくて良かった。破裂していたり、頭にできていたりしたら生きてないと思う。野球ができる事が一番、うれしい」。率直な思いを言葉に変えた。

 術後、約3週間の入院期間を経て徐々に練習を再開。現在は守備練習やダッシュなど、全てのメニューをこなせるまでに回復している。この日は術後、初のブルペン投球。捕手を立たせ6~7割の力で直球を15球投げ込んだ。「オフに入る前にここまで持ってこられたのは良かった」。春季キャンプ初日の2月1日には全力投球する青写真を描いている。

 今季は若手が台頭し中継ぎ陣の世代交代が進んだものの、巻き返しを目指すチームにとって救援陣の再建は欠かせない。右腕はリーグ3連覇時の守護神。数々の修羅場をくぐり抜けてきた実績と経験は何にも変えがたい。その復活はブルペン陣をさらに強固なものにする。

 「内に秘めるものはあります。このまま終わってしまう訳にはいかない」。静かに燃やした闘志。自らの力で再び大役を勝ち取ってみせる。

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