広島・森下 ぶっちぎり新人王 公約果たした!大瀬良以来、鯉投6年ぶり
「NPB AWARDS 2020 supported by リポビタンD」が17日、東京都内で開催され、セ・リーグの最優秀新人に広島の森下暢仁投手(23)が選出された。広島の新人王は14年の大瀬良以来、6年ぶり10人目。入団会見時の公約を果たした右腕は来季、2年目のジンクスを吹き飛ばし、キャリアハイの成績を残すと力を込めた。
赤いカーペットが敷かれた華やかなステージの真ん中に、森下が堂々と立った。トロフィーなどを受け取ると実感が湧く。入団会見時の約束を有言実行。新人王に輝いた。
「入った時から取りたい賞だったので本当にうれしい。やった、という気持ちです」
開幕ローテ入りし、18試合で10勝3敗、防御率1・91。特にシーズン終盤の安定感は抜群だった。10月以降は5試合で4勝無敗。防御率0・24で10、11月の月間MVPを受賞した。
「負けた試合などは自分の世界に入って投げていた。それは良くないと思った。試合をしていく中で、投げることだけではなく、周りを見られるようになった。打者を見ることもそうだし、守備位置なども。投手だけではない。みんなで戦っている」
成功も失敗も成長の糧とした。規定投球回に到達した新人での2桁勝利と防御率1点台は66年の巨人・堀内以来、54年ぶりの快挙。投票数303は2位・戸郷(巨人)の9票を大きく離した。誰もが認めた栄誉だ。
強い気持ちでマウンドに立ち続けた。担当の尾形スカウトが電話をかけると常に「絶対に勝ちます」と話したという。「『頑張ります』という選手は多いけど『勝つ』とはっきり言うところがすごい」と同スカウト。技術の高さに加え、たくましい心がうれしかった。
前向きな言葉はチームメートを救ったこともあった。塹江が10月17日の中日戦で2-1の八回に登板し、ピンチを招いて降板。その後、抑えのフランスアが逆転打を浴びて森下の9勝目が消えた。
新人王へ続いた負けられない戦い。「残りの登板数を考えても何とか勝ちを消さないようにと思っていたんですが…」。肩を落とし「申し訳ない」と謝罪した左腕に森下は言った。「残りの2試合全部取りに行きます。勝ちます!」。頼もしさに勇気付けられた。
「来季も試合の中でいろいろなことに取り組んで、また成長したい。今年以上の成績を残せるようにやりたい」。森下は真っすぐ前を向いた。チーム全員で勝利の喜びを分かち合うために、強い思いで右腕を振り抜く。