広島ドラ1・栗林 「妻を安心させたい」愛妻は大学の同級生 1年目へ意気込み語った
期待のルーキーが鯉党に新年のごあいさつ-。広島のドラフト1位・栗林良吏投手(24)=トヨタ自動車=がデイリースポーツにプロ1年目の意気込みを語った。先発とリリーフの両方をこなせる即戦力右腕は、昨年の新人王・森下の成績を超えることはもちろん、“大一番”で勝てる投手になると宣言。昨年7月に結婚した妻・沙耶さんへの思いも語った。
◇ ◇
-妻の沙耶さんとは大学の同級生で、昨年7月に結婚した。
「(知り合って)2カ月ぐらいで付き合ったと思います」
-結婚を意識しての交際だった?
「最初はそんなことなかったんですけど、(大学の)3、4年生ぐらいは、いて当たり前の存在というか、今の奥さんがいるから野球を頑張れたというのもすごくあるので。そういう面でも必要不可欠というか」
-惹(ひ)かれた部分は。
「ダメなことはダメとしっかり言ってくれます。しっかり自分を持っているというか奥さん自身がしっかりしている。大学の頃はリーグ戦中に遊びに行ったり、飲みに行ったりとかしていると、『それはやらない方がいいんじゃない?』とか『自分の楽しい感情だけで動くと良くないんじゃない?』と。大学生ではなかなか言えないと思うんですけど、ダメだと思うことはダメと言ってくれるのはいいのかなと」
-同い年だけど自分を律してくれる存在。
「そうですね」
-理想の奥さん。
「ご飯もすごくおいしいですし、野球に集中できているのは奥さんのおかげなのかなと思います」
-プロに入って楽にさせたい気持ちも強くなったのでは。
「プロに入るからには安心させてあげたいというのが一番なので、一日も早く結果を出してまずは一回、安心させてあげたい気持ちはあります。奥さんが不安なままだと家庭の方も良くないと思うので、しっかり野球を頑張りたい」
-奥さんは野球には詳しい?
「そうでもないですね。でも、それでいいと思います。家に帰ってから『なんであそこで四球を出したん?』とか言われるより『きょうは残念だったね』とか、『次、頑張ってね』ぐらいの方が気持ち的に楽なのかなというのはありますね(笑い)」
-プロは長いシーズンを戦う。気持ちの切り替えは得意か。
「昔は苦手だったんです。悩んでいる時もあったんですけど大学のコーチがプロ出身の方なので、その方にずっと切り替えが大事と言われてきて、だいぶ良くなってきているのはありますね」
-名城大2年の冬にコーチに就任した元中日の山内壮馬さんのことですね。
「はい。初めてプロ野球選手だった人が身近に来たことでプロ野球選手の話、山内さんの現役時代の話をたくさん聞いて、プロ野球選手っていいなという感情が芽生えた。自分は元々、野手だったんですが、投手としての心構えや球種も教えてもらったり、そういうところは本当に投手として成長させてもらいました」
-山内さんと出会って、プロに行きたい気持ちになった?
「そうですね。今までは何も考えていなかったのが、プロの話を聞いて、『いいな』という気持ちになりました」
-教わった中で今も大事にしていることは。
「本当に投手のことを1から10まで教えてもらった。今でも意識しているのは自分の調子が悪い時に、たくさん引き出しを持っておくことで調子を戻すということですね。いくら調子が悪くても意識するポイントを変えれば、投球も変わるというのを教えてもらった。投げる時に『きょうは手首を意識して投げよう』とか『肩やお尻を意識して投げよう』とか、自分の調子が良くなるポイントを何個か引き出しとして持っておくことが大事だと言われました」
-新鮮だった?
「そうですね。今までは自分は『ただ投げるだけ』という感じでしたから。自分の調子が悪くても抑えないといけないと思いますし、なんとか勝つためにはどうすればいいかということを、いろんなポイントから教えてもらったのはすごく良かったです」
-テンポ重視の投球は守っている野手のことを考えてのこと?
「そうですね、そこは気にして投げるようにしています」
-野手の経験があることも関係している?
「野手をやっていた経験はすごく生きているのかなと思いますね。大学生の最初の頃は速い球を投げたい、大きく曲がる変化球を投げたいとか自己満足で野球をやっていたけど、山内さんが来て、トヨタ自動車に入って、打者目線やリード面で考えたりできるようになりました。山内さんとトヨタ自動車の方々のおかげで大人になれたというか、変われましたね」
-野手から本格的に投手になった経緯は。
「高校2年時はショートをやっていたんですが、3年になる前にエースになる子がケガをして、自分が投げざるを得ない状態で投げ始めたんです。ただ、その時も野手メインで練習していましたし、投手としての練習をやっていたわけではない。大学に入る時、名城大は投手として取ってくれたので、そこから本格的に始めることになりました」
-大学では日本代表を経験。プロでも国を代表して戦いたいという思いは。
「やっぱり入れたらと思います。同世代がすごく頑張っているので負けたくない気持ちがある。(同い年の巨人)岡本とか、栗原(ソフトバンク)とか、そういう人たちには負けたくない」
-自分の性格で好きな部分、嫌いな部分は。
「負けず嫌いなのはすごくいいと思う。プロ野球選手としてもそうですし、負けず嫌いから向上心が生まれてくると思うので、そういう面では負けず嫌いですごく良かったなと思います。嫌いな面は抜けているというか、伝え忘れが多いところ。相手から聞いたことを自分で止めてしまうことが多いので(笑い)」
-佐々岡監督は入団1年目は先発も中継ぎも任された。自身にこだわりはあるか。
「特にないです。チームにリリーフがいない時に自分がリリーフで救えたらいいし、逆に先発がいないなら先発で救えたらいいと思います。トヨタで言ったら金子(弌大)さんが今リリーフで頑張っている姿を見ると、やっぱりチームとして自分が必要とされているところでしっかり活躍できたらなと思います」
-最後に改めて今季の目標を。
「社会人卒、ドラフト1位として、また去年の森下の活躍があるので、やらなきゃいけないとすごく思っている。そこは最低目標にして、その中で森下や(背番号20をつけていた)北別府さん、永川さんみたいに1年目からしっかり活躍して、数字もしっかり残せたらなと思います」
栗林良吏(くりばやし・りょうじ)1996年7月9日生まれ、24歳。愛知県出身。178センチ、83キロ。右投げ右打ち。投手。背番号20。愛知黎明では甲子園出場なし。名城大では通算32勝を挙げ4度のベストナイン、3度の敢闘賞。3年時に大学日本代表に選出された。19年にトヨタ自動車に入社し1年目から活躍。20年度ドラフトで広島から1位指名を受け、契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1600万円で入団(金額は推定)。