広島・九里は347球 キャンプで投げ込む意図は何か 評論家の視点
広島・九里亜蓮投手が4日にブルペンで347球の熱投。キャンプだからこその投げ込みを行った。
過去、カープでは佐々岡監督、黒田博樹も300球超を投げ込んだ例があるが、キャンプでこれ程までに投げ込む意図は何か。元巨人2軍投手コーチで、デイリースポーツ評論家・関本四十四氏は「マウンドの傾斜を使って投げるというのは、ものすごく疲れる。投手は投げる動作のスタミナが必要で、投げ込むひとつの理由としては『傾斜を克服する』というのが挙げられるだろう」とした。
選手として巨人V9も経験した関本氏も、300球の投げ込みを経験したことがあるという。当時、投手コーチだった藤田元司氏はキャンプの第3、第4クールに投げ込みを設定。「投球フォームのバランスがいい」、「精神状態がいい」、「温かく気温が高い」の3条件がそろった時に真っ直ぐのみ外角低め300球を投げ込んでいた。
また、フォーム固めにも効果的な面があるという。関本氏は体が疲労を感じることで力が抜け、「無駄のない、バランスが整ったフォームで投げるようになる。これを体に染み込ませる」と説明する。
投げ込みに関しては賛否両論ある時代。関本氏は「今の時代、メジャーの関係者が聞いたら『選手を壊すのか』と抗議するくらいの球数だが、過去にはロッテ監督を務めたバレンタインが日本のキャンプで100本ノックを体験したことがあった。100本ノックは40から50本を超えると省エネで動く意識が強くなり、自然な形で捕球するようになる。バレンタインもこれを実感したようで、『毎日は無理だが、これは素晴らしい』と言っていた。ピッチングにもこれと通じるものがある」という。
関本氏は肩や肘を痛めた経験はないものの、当然、強制させるべきではないと警鐘も鳴らす。「この日に投げろ、というのはやってはいけない。九里が1クール目に投げ込んだのは驚いたが、バランス、精神的にもいいものがあったんだと思う」と付け加えた。