ドラ1栗林、カープ守護神抜てきに現実味 フランスア手術で開幕絶望
「オープン戦、阪神9-3広島」(10日、甲子園球場)
あるぞ新守護神!広島のドラフト1位・栗林良吏投手(24)=トヨタ自動車=が八回に登板し、1回無失点、三者凡退に抑えた。これで対外試合は5試合連続無失点と無類の安定感を誇る右腕。佐々岡監督は抑え抜てきについて明言を避けたが、フランスアが手術で出遅れ必至の中、期待のルーキーにクローザー指名も、十分考えられる状況だ。
人生初の甲子園のマウンドを満喫しながら、栗林は腕を振った。「前回(7日、ヤクルト戦)よりは緊張をコントロールできて、球自体もいっていた。前回よりは良かった」と表情を緩めた。
八回、先頭の長坂を左飛、木浪を遊ゴロに抑えた。板山にはカウント2-2からの6球目。136キロフォークを低めに落とし、空振り三振に斬った。最速は150キロを計測。12球で阪神打線を三者凡退に料理した。
特に好感触を得たのが落ち球だ。板山との対戦を振り返り、「本当はもう1個前のファウルになったフォークで決められれば、ベストだったが、2球目にしっかり修正して投げられた」とうなずき、「低めにいけば、振ってもらえる。低めにいく確率を上げていければ武器になる」と確かな手応えを口にした。
これで右腕は対外試合5試合目の登板。計5イニングを投げ、打者15人に対して6奪三振。いまだ無安打無失点と好投を続けている。佐々岡監督は「変化球もね。前回登板のマツダから力みが消えたというか。落ち着いてきた」と目を細めた。
新守護神の座が現実味を帯びてきた。球団はこの日、フランスアが右膝手術を受けたことを発表。守護神不在で開幕を迎えることとなった。4試合連続無失点中のルーキー大道や塹江、ケムナらが候補に挙がるも、150キロ超えの直球と精度の高いフォークで三振を奪える新人が大抜てきされる可能性は十分ある。
ルーキーが抑えを務めることになれば、球団では2003年の永川勝浩(現1軍投手コーチ)以来。指揮官は「まだまだ。最後の最後まで見極める」と明言は避けるも「フランスア抜きでやらないといけない中、このメンツでストッパーを選ぶ。まだそれだけチャンスが来る」とさらなる競争を期待した。
「リリーフをやる以上はしっかり勝ちパターンで投げさせてもらえるように。九回に限らず、信頼を勝ち取れるようにやっていきたい」と力を込めた右腕がこのまま無安打無失点街道を歩み、虎視眈々(たんたん)とクローザーの座を狙う。