広島ドラ1・栗林初S「恩返ししないといけない」 新守護神初登板で快挙

 「広島4-1中日」(27日、マツダスタジアム)

 広島が今季初勝利を挙げた。その最後の瞬間、マウンドにいたのが新守護神を託されたドラフト1位・栗林良吏投手(24)=トヨタ自動車=だ。3点リードの九回にプロ初登板し、三人斬りでプロ初セーブ。新人の初登板初セーブは、球団では2003年の永川勝浩以来18年ぶり、プロ野球史上でも5人目の快挙だ。大役を担う黄金ルーキー。今後さらなる修羅場が待ち受けるが、その右腕で突破していく。

 重圧から解放され、白い歯がこぼれた。栗林に感情が戻った瞬間だった。帽子を取り、マウンド付近に集まった仲間とタッチを交わし勝利の余韻をかみしめた。守護神としての大役を果たした。チームに今季初勝利をもたらす、魂の10球だ。

 「みんながつないでくれた3点差の場面。必ず勝って帰ろうという気持ちだった。良い結果が出て良かった」

 4-1の九回に出番が来た。先頭・京田への初球は、150キロの直球。緊張を振り払うかのように腕を振り抜き、最後は二ゴロに。「ファンの人に助けられているのかな」。真っ赤なスタンドから勇気をもらう。続く木下拓はカーブでタイミングを外し、投ゴロ。そして根尾には緩急を使ってカウントを整え、最後はフォークで空振り三振に斬った。

 「リリーフの方たちが明るく送り出してくれた。ベンチではみんなに送ってもらえ、球場ではファンの人たちに大きな拍手を頂いた。恩返ししないといけない」。1回無安打無失点。最高の投球を届けた。

 「自分のために野球をやっている気持ちは全然持っていない」。栗林ははっきりと口にした。誰かのために右腕を振り抜く-。社会人野球を経験したことで芽生えた心構えをカープでも貫く。

 「トヨタ自動車の関係者やファンの人が見に来てくれた。会社を背負って投げているから、明るい話題を届けたいと思っていた。それまでは自分のために野球をやってきたけど、会社のため、人のために投げるという考え方になった」

 トーナメント制で負ければ終わりの社会人野球を「大人の甲子園」と表現する。立ち向かう背中に喜んでくれる人がいた。自らの投球で応援してくれる人の心に火をつけ、その火で再び自分の心を燃やしてきた。昨年7月には大学時代の同級生だった沙耶さんと結婚した。今は家族のため、そして「ファンに喜んでもらうために頑張る」と前を向く。

 球団の新人では、03年の永川以来18年ぶりとなるセーブ。新人の初登板初セーブは同年の永川以来で、プロ野球史上5人目の快挙だ。「一つ記録に並べたのはすごくうれしい」。記念のウイニングボールは家族に手渡す。

 始まったばかりの戦いはこれから山があり、谷もある。「ここからが大事。シーズンを通して抑えのポジションを守るのが今の自分の目標です」。そう言って表情を引き締めた。この日、マツダスタジアムに多くの笑顔の花が咲いた。その花をこれから何度も咲かせてみせる。

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