広島の失敗しない男 ストッパー栗林に北別府氏が珍提案「早めに失敗した方がいい」
広島の新人、栗林良吏投手(24)がデビュー以来、連続無失点記録(27日現在12試合)を継続している。チームにとっても本人にとっても喜ばしいことだが、デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「早めに失敗して、その経験を今後に生かす考え方もある」と飛躍への極意を語った。
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失敗しないまま投げ続けていると“いつ崩れるのか”と逆に心配してしまう。ストッパーとして1年間、1度も失敗することなく抑え続けることなど、あり得ないからね。
体が重い日やボールにキレがない日、フォークが落ちない日など、調子の悪い日は必ずあるもの。そういう意味では1度、早めに失敗して、その経験を今後に生かすという考え方もある。
まあ、全試合をゼロで抑えるに越したことはないけど、連続何試合とか、あまりそういう数字は気にしない方がいいと思うね。
彼のずば抜けていいと思うところはメンタルの強さと制球力。
制球力の良さはどこから来ているかというと、自信。その自信は社会人(トヨタ自動車)でエースを張ったという自負と「投げきらなければならない」という責任感から生まれたものだと思う。つまり経験だね。
そしてマウンド上で常に堂々としている。そわそわしていると相手に見透かされるし、恐怖心が出ると、腕が振れなくなり制球が乱れ、スピードも落ちて打たれる。
さらに150キロを超えるスピードボールを投げるうえに、鋭く落ちるフォークボールがある。
このフォークを、きっちりとベース板の上を通過させている。だから打者は振ってくる。自信がないとベース板から外れる。そうなると振ってくれない。
抑えの投手がマウンドに上がり、先頭打者に四球を与えたりしたら、これはもう“自殺行為”に等しいからね。ベンチは焦るよ。
投手が打者に向かって投げて初めて勝負が始まる。逃げていては勝負にならない。
そこで必要になるのは、メンタルの強さが現れる自信なんです。栗林の最大の武器は、その自信と言ってもいいぐらい。
とはいえ、嫌なことは早めに経験した方がいい。苦い思いをして、何が足りなかったかということを考えて、そこで気持ちを切り替えて次に向かう。失敗を経験してさらに大きくなった栗林投手を見てみたいと思う。
しかし、このところのカープの投手陣、新たな投手王国が見えてきたと言っても過言ではないでしょう。