広島・龍馬イチローばり!びっくり同点打 地面スレスレ左前へ降格7番で救った
「広島3-3DeNA」(16日、マツダスタジアム)
広島は執念の引き分けに持ち込み、カード勝ち越しを決めた。今季初めてクリーンアップを外れ、7番で先発出場した西川龍馬外野手(26)は2本の適時打を放ち、いずれも低めの変化球を“曲芸打ち”で捉えた。不振に苦しみ、この日の適時打が今月初打点。チーム屈指の好打者がここから上昇曲線を描いていく。
雨脚が強くなろうとも、西川の集中力は途切れなかった。1点を追う八回2死一、二塁。泥臭く運んだ打球が左翼の芝生の上で弾む。表情は変わらないが、一塁ベース上で何度も手を叩いた。赤いカッパ姿のファンからは拍手が注がれる。「あまり強引にならずにいけたのが良かったかな」と劣勢ムードをはね返す価値ある一打を振り返った。
山崎のツーシームに食らいついた。「ツーシームが頭に入っていたので、狙った。ワンバン(の球)を打つぐらいのイメージでいったらちょうど良かった」と積極的な姿勢が奏功。見送れば間違いなくボールの地面すれすれの低い球を、泳ぎながら左前に落とし同点適時打とした。
1点リードの四回は1死二塁でピープルズから適時打。八回と同じ低めの変化球を懸命にバットで拾い、左前に落とした。4月29日・DeNA戦(マツダ)以来、5月に入って初打点。久々の適時打に「(いい兆しに)なってくれればいいですけどね」と満足感に浸ることなく、冷静に自身を見つめた。
直近5試合で20打数1安打。この日も会心の当たりではないが、追い込まれながら2安打。「逆に今は、追い込まれた方が何となく打てる気はするかな。追い込まれたら何とか当てにいくという形で」と自己分析した。
14日の同戦は「気分転換」も兼ねて焦げ茶色のバットに変更。「何をやってもアカンから、とりあえずバットの色を変えてみようと。それでもアカンかったけど」と苦笑したが、懸命に光を求めていた。今季初めてクリーンアップを外れ、2年ぶりの7番。佐々岡監督は「この2本を、いいきっかけにしてほしい」と期待した。
本調子ではない中、中軸を外れても好機で打席が回った。勝負の巡り合わせにも、前を向く。「今はそういう時なんかなと。そこは割り切って。内容のある打席を増やして凡打でも、何かいいきっかけをつかめれば」と西川。苦しんだ先に見えるトンネルの出口を、必死に目指していく。