広島・中村奨成、うれしいプロ1号「入ってくれ」 通算46打席目で待望の一発
「DeNA11-12広島」(19日、東京ドーム)
待望のプロ1号だ。八回。代打で打席に立った広島・中村奨が甘くなったチェンジアップを振り抜いた。快音が東京ドーム内に響く。高く美しい放物線を描いた白球は、左翼席へ飛び込んだ。プロ入り4年目、通算46打席目で放った記念弾だ。
「入るとは思わなかった。でも感触は良かったので、入ってくれと思ってました」
安打は2日の日本ハム戦以来。打席に立った過去5試合は、結果を考え過ぎ凡打になった。「きょうの打撃ローテ中に、朝山コーチとファーストストライクを振りにいこうという話になった」。本来は積極性が持ち味。原点回帰により、視界が開けた。
後輩の小園や羽月、林に刺激を受ける。「1年先にプロに入っている。負けないぞ、という気持ち」。継続してグラウンドに立つ3人。悔しさを力に変えて練習に打ち込み、与えられた出場機会で全力を尽くす日々だ。
実家の玄関には記念のバットや球を飾る場所がある。4月16日の中日戦で放ったプロ初安打の記念球は自らの手で置いた。「家に持って帰って渡します」。家族の喜ぶ声や顔も原動力になっている。
17年夏の甲子園で、1大会最多を更新する6本塁打を放った男は「このチャンスをものにできるように頑張ります」と手綱を締めた。恐れずバットを振る先に光がある。