広島・石原 待ってました!プロ1号&プロ初4安打 打てる捕手へ進化中
「DeNA10-8広島」(20日、東京ドーム)
広島の石原貴規捕手(23)がプロ1号となるソロ本塁打を放った。五回、先頭で打席に立ち、外角のチェンジアップを力で右翼席へ放り込んだ。通算41打席目での待望の一発だ。「打てる捕手」を目指し、肉体強化に励むなどしてきた成果を示した。守備では2試合連続でスタメンマスクをかぶったものの計21失点。グラウンドで感じた課題などを次戦に生かしていく。
右翼方向へグングン伸びた。体勢をやや崩しながらはじき返した打球は、失速しない。スタンドの最前列で白球が弾む。石原が通算41打席目で放ったプロ1号本塁打だ。
「感触は良かった」
五回の先頭だ。三振を狙いに来た外角チェンジアップが高めに浮いた。昨年オフには林らと鹿児島・鹿屋体育大学を訪れ動作解析などで打力や筋力の向上を図った。逆方向への一発はパワーと技術を示したものだ。
八回は東京五輪の侍ジャパンに選ばれた山崎から左前へ運び、3点を奪って迎えた九回は中前適時打を放った。二回の安打を含め4安打もプロ初だった。
「勝っている状況ならもっとうれしいのかな」。静かに言葉を紡いだ。2試合連続でスタメンマスクをかぶり10失点。11失点した前日を合わせ計21点を奪われた。だからこそ素直に喜べなかった。
悔しかったのは、1失点して迎えた三回2死満塁でオースティンの満塁弾を被弾した場面と、伊藤光に走者一掃の3点二塁打を許した四回だ。
「自分が出したサインで打たれている。良い球を投げてくれている中で、もっと生かす(良いところを引き出す)じゃないけど、打者にしっかり勝負していくところを出さないといけない」。球種の選択や構えたコース…。リードについて思いを募らせた。
正捕手の会沢が「左下腿(かたい)腓腹筋挫傷」のため長期離脱を余儀なくされた。捕手は石原を含め坂倉、磯村、中村奨の4人態勢だ。首脳陣から守備力で高い評価を受ける。「期待に応えられていない。もっと自分の中で頑張らないといけない」と力を込めた。
佐々岡監督は「安打でつなぐことができれば最後(4点を奪った九回)のような攻撃ができる」と打撃面を評価した上で「リード面でも、もっと勉強しないといけない」とさらなる成長に期待した。
ベンチでは投手陣と積極的に会話をかわす姿が目立つ。石原は「チームが勝つことが一番、うれしい。それが一番」と言って顔を上げた。抑えた喜びも打たれた悔しさも糧にして、次戦のグラウンドに立つ。