広島・床田プロ初完封 「栗林がいる」九回志願125球 成長を実感
「広島2-0巨人」(21日、マツダスタジアム)
広島の床田寛樹投手(26)がプロ5年目、通算55試合目でうれしいプロ初完封勝利を挙げた。125球の熱投。9回6安打9奪三振の堂々たる内容で巨人打線を圧倒し、チームの連敗を2で止めた。殻を破る白星を飾った左腕が、残り試合も勝ち星を積み重ねていく。
125球目。小林を直球で空振り三振に斬ると、床田は左拳を突き上げて会沢とともにガッツポーズした。佐々岡監督からポンポンと肩をたたかれた左腕。プロ5年目、通算55試合目でうれしいプロ初完封を飾り、お立ち台では「鳥肌が立ちました」と喜びを口にした。
2点リードの九回。通常ならば守護神の栗林が登板する流れ。しかも右腕は永川勝浩が保持する球団新人セーブ記録の25にあと1に迫っており、ファンの期待も高まっていた。
八回終了後のベンチで、佐々岡監督が歩み寄ってきた。「行ってみるか?みたいな感じだったので、行きますと」続投を志願。その決断の裏側には「申し訳ないですが、(ピンチを)回したとしても栗林が控えてくれている。思い切っていくだけでした。(栗林がいたから完封に)つながったところもある」と絶対的守護神の存在があったことを明かした。
佐々岡監督は「九回は栗林の選択もある中、床田に託した。真っすぐが走っていて、変化球で空振りが取れていた。好調がずっと続いていた。本人が目を見て、行きたい、行かしてくれとのことだった」と振り返る。指揮官自らが続投を勧めたという床田の“証言”とは異なるものの、言葉を交わす中で熱意を感じ取り、背中を押した。
二、三回に1死一、二塁のピンチを招いたが、最速151キロの直球と、大学時に習得して今夏からまた使い始めたというパームも駆使して9三振を奪った。佐々岡監督は「ずっとこういう投球を期待していた。初完封を自信にしてほしい」とさらなる飛躍に期待を寄せた。
2軍で東出打撃コーチに打者目線から投球時の肘の低さを指摘され、肘の位置を高くしたことも復調のきっかけとなった。
8年ぶりに満月となった中秋の名月に負けない輝きを見せた。殻を破った4勝目。「自分が一個成長できたかなと感じました」と背番号28。初完封を自信と力にし、投手陣を支えていく。