カープ九里 自己最多更新の11勝 「背番号以上は勝てるように」グラブに刺繍
「中日3-7広島」(6日、バンテリンドーム)
広島の九里亜蓮投手(30)が6回8安打3失点の粘投で、自己最多を更新する11勝目を挙げ、リーグトップタイに並んだ。残り16試合での登板機会は2、3試合。力投を続ける右腕は自身初の最多勝獲得に向けてタイトル争いに身を投じていく。チームは投打がかみ合い、連敗を4で止めた。
粘り強く腕を振った。納得のいく内容ではなかった。それでも6回8安打3失点にまとめた。九里はチームの勝利を見届けると少し表情を緩め、ハイタッチを交わした。リーグトップタイの11勝目を挙げ、自己最多の勝利数を更新した右腕は「うれしいです」と喜んだ。
二回2死三塁から木下拓に適時打。四回も下位打線に3連打を浴びた。六回にはビシエドにソロを許したが、失点は最小限に食い止めた。要所を締める投球で、相手に流れを渡さなかった。
五回1死では渡辺のゴロを右手に当て、出塁を許した(記録は失策)。一度ベンチに下がって治療を受けたが「問題ない」と続投し、素早いけん制で刺した。自らの手でリズムを取り戻した。
佐々岡監督は「四球がなかったので、勝負はできていたと思う。一発を打たれたので、内容を見て(六回で)代えた。本来ならもう少し長いイニングを投げてほしかったが、先発の仕事は果たしてくれた」と称えた。
今季から背番号が「12」から「11」となった。「背番号以上は勝てるように」という願いも込め、グラブの刺しゅうを新調した。横文字の「ALLEN」。奥さんや子どもと相談し、「LL」を「11」に見立てたデザインにした。17年は9勝。18~20年は8勝を挙げながら、あと少しのところで2桁勝利を逃していた。それだけに、今年こそという思いをグラブに宿した。
九里の力投もあり、チームは連敗を4で止めた。プロ8年目でまだタイトルには縁がないものの、残り16試合で登板機会は2、3試合ある。最多勝のタイトルが十分に狙える位置にいる。
「タイトルを取るのはどの投手も目標の一つだと思いますし、意識しないといえばうそになる。自分の投球ができるようにしていきたい」と静かに闘志を燃やした背番号11。自身初の称号に向かって、全力投球を続けていく。