広島・誠也 33号グランドスラム 前田、江藤に並んだ球団歴代5位タイ満弾6本
「中日2-5広島」(7日、バンテリンドーム)
これぞ4番だ!4試合ぶりにスタメン復帰した広島・鈴木誠也外野手(27)が、今季自身初のグランドスラムで勝利に導いた。五回1死満塁で大野雄から先制の33号満塁弾。通算6本目の満塁本塁打は、球団では前田智徳、江藤智に並ぶ記録となった。打率も・321と首位打者をキープ。主砲の活躍でチームは4位に浮上した。
ノーステップで打った打球には思えなかった。敵地をどよめかせた圧巻の一発。鈴木誠は軽くステップを刻むと、体の前にバットを掲げて打球の行方を見つめた。「ホームランはたまたまの結果ですけど、チームが勝ったので良かったです」。相手エースを沈めた一撃こそ、4番の仕事。4試合ぶりのスタメンで今季初の満塁弾。やはり、役者が違う。
0-0の五回1死満塁。カウント1-2から、中日先発・大野雄の直球を振り抜いた。無駄な動きをなくし、コンパクトかつ速いスイングで捉えた打球はグングン伸びてバックスクリーン左へ着弾。塁上の走者を全てかえす33号は、通算6本目のグランドスラム。球団史上、6本以上の満塁本塁打を放ったのは7人目で、前田智徳、江藤智に並ぶ金字塔。主砲がまた一つ、赤ヘルの歴史に名を刻む強打者たちに肩を並べた。
同じ失敗は許されなかった。「2打席チャンスで凡退していたので、『何とか』という思いで」と心は燃えていた。初回は1死一、二塁で空振り三振。三回は1死満塁で内角のボールに詰まって、一飛に倒れていた。凡退しても好機で打順が巡るのは、4番の宿命でもある。そして2度目の満塁機で最高の結果をもたらした。
疲労を考慮され、3日・ヤクルト戦からスタメンを外れていた。「チームに迷惑を掛けていた。(試合に)出られなくてフラストレーションもたまっていた」と心境を吐露。その鬱憤(うっぷん)を晴らす一撃に、佐々岡監督も「悔しさもあったと思う。ああいうところで打ってくれるのがね」と賛辞を贈った。
個人記録には興味を示さない主砲は以前、「(野球は)本来、みんなで一つになってやるスポーツ。自分の成績を考えながらやるというのは、楽しくない」と話していた。2年ぶりの首位打者獲得に期待が高まるが「終わって取れたらいいけど、こだわりはあんまりない」と強調する。
「まだ試合もありますし、試合に出られていない方が嫌。この後はなるべく欠場しないように、しっかりとしたコンディションでやりたい」。残り試合、チームのために最後の力を振り絞る。