広島・今村、戦力外 涙、3連覇功労者チーム去る 09年度ドラ1、カープ一筋12年
広島は14日、広島市の球団事務所で今村猛投手(30)、中村恭平投手(32)、行木俊投手(20)、鈴木寛人投手(20)、育成・畝章真投手(26)、同・佐々木健投手(22)の6選手に、来季の契約を結ばないことを伝えた。今村は2009年度ドラフト1位で入団。16年からのリーグ3連覇は「勝利の方程式」メンバーとして支えた。昨季は6試合の登板にとどまり、今季は1軍昇格はなかった。通算431試合で21勝30敗36セーブ、防御率3・46。今後は未定。
時折、目に光るものがあった。戦力外通告を受けた今村は、こみ上げる思いをこらえながら言葉を紡ぐ。全力で駆け抜けた12年が走馬灯のように過ぎていった。
「覚悟はしていましたけど。いざとなると、ちょっとしんどいですね」
昨季は登板6試合にとどまり不退転の決意で臨んだ今季。2軍スタートとなったキャンプから脱力フォームを試行錯誤し球質の向上に努めてきた。それでも1軍では栗林を筆頭にケムナや島内、森浦らが台頭。世代交代は急速に進んだ。1軍登板は訪れなかった。
「実力不足もあるし、僕が160キロを投げられれば…。投げられなかったので仕方ない。思うような球を表現できず投げられなかった。それが3年間ぐらい悔しさとしてある」
09年度ドラフト1位で入団。飛躍の転機となったのは11年に中継ぎへ配置転換されたことだった。「先発だったらここまでやっていない」。リーグ3連覇も今村の存在なくして語れない。16年はリードしている展開に加え同点、ビハインドでも登板し67試合に投げた。「最もしんどい場所は七回」とチームメートが声をそろえた仕事場。それを淡々とこなす姿が頼もしかった。
「東京ドームでの優勝の瞬間かな」。四半世紀にわたる夢をかなえた16年9月10日の巨人戦。黒田の後を受け七回に登板した。1回無失点でジャクソンへ勝利のバトンを託した。しびれる場面を乗り越えてつかみ取った歓喜のときが、最も思い出に残っている。
現役続行を含めた今後については「考える時間がある。未定です」と話した。
「悪いときの方が多かったですけど、カープ球団、選手、コーチの方々みんな一人一人うまくなるように。すごくいい球団だった」。感謝の思いを胸に、背番号16は赤いユニホームを脱いだ。