カープ栗林 森下超え3700万増更改 球団史上2年目最高額も「生活水準上げない」
広島・栗林良吏投手(25)が30日、マツダスタジアムで契約更改交渉を行い、今季から3700万増となる年俸5300万円でサインした。球団の新人2年目の年俸としては森下暢仁投手(24)の4300万円を超える球団史上最高額で、大幅アップをつかんだ。右腕は今季、セーブ機会で失敗ゼロ。来季も“失敗しない男”を継続し、チームの優勝を目標に掲げた。(金額は推定)
マウンドでの振る舞いと変わることなく、栗林は落ち着いた表情で会見に臨んだ。全力で駆け抜けた1年間が最高の評価へと形を変えた。「しっかり評価していただきました。こうやって終わることができたのは、良かった」。今季から3倍以上となる、5300万円の大幅アップ。入団2年目の年俸では、森下の4300万円の球団最高額を更新した。
1年目とは思えない奮闘で自身の存在価値を高め続けた。記録ずくめの戦いの中で「誇らしい記録は、セーブシチュエーションで失敗しなかったこと」。37セーブという数字ではなく、セーブ機会で一度も失敗しなかったことに目を向けた。
登板するか否かは、当日の試合展開次第。だからこそ、巡ってきた“持ち場”で全力を果たすことが使命だと自覚する。来季も「セーブ数にこだわらず、今季同様、セーブシチュエーションで勝ちのまま終われるようにしたい」と“失敗しない男”の継続を誓った。
プロ野球人生の幕開けは開幕2戦目、3月27日・中日戦。プロ初セーブを挙げ、そこから一気に加速した。デビューから22試合連続無失点で、ドラフト制以降の新人プロ野球記録を更新。球団新人新記録の26セーブは通過点で、最終的に15年・山崎(DeNA)が持つ新人最多セーブのプロ野球記録に並ぶ37セーブで今季を終えた。
シーズン最終盤にかけては20試合連続セーブを達成し、09年・岩瀬(中日)に並ぶ歴代2位タイの偉業を打ち立てて今季を締めた。8月には東京五輪で金メダルも獲得。激動のシーズンを終え、バラ色の大幅昇給をつかんでも「今回年俸が上がったことで、生活水準を上げないようにとは妻とも話している。しっかり貯蓄もしたい」と足元を見つめることも忘れなかった。
多くの金字塔を打ち立てた一方、手にできなかった勲章への思いは強くなった。「来季はリーグ優勝を。(来年)コロナが落ち着けば、満員の舞台で今季同様の成績を残せるようにしたい」。サクセスストーリーは、これからが本章。誇り高き守護神が、チームを秋の歓喜へといざなう。
◆新人選手の年俸大幅アップ…ルーキーイヤーに活躍して大幅アップを勝ち取った主な例は2003年に14勝を挙げ新人王に選ばれた和田毅(ダイエー)で1500万から6500万増となる8000万円。他は、1999年に16勝で最多勝に輝いた松坂大輔(西武)が1300万円から5700万増となる7000万円。