鈴木誠也がメジャーで成功する条件とは?「そのヒントは黒田にある」と北別府氏
広島からポスティングシステムを使って大リーグ移籍を目指す鈴木誠也外野手(27)の評価が“米国市場”で高まっているが、果たしてどこまで通用するのか。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「野球環境が大きく異なる。特に変化球への対応が大事」と慎重な言い回しでエールを贈った。
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誠也の打球音は日本人離れしているし、その飛距離には非常に魅力がある。守備力と走力も傑出している。だから大リーグでも大変高い評価をされているのだろう。
では、イチローや大谷のように大成功を収めることができるのかとなると、現段階でそこまで期待するのは酷かもしれないね。
彼らはそもそも天才的な選手ですよ。鈴木は決して天才型ではない。努力を重ねてここまでの形を作り上げた選手。これまでのような努力や研究で打率は残せると思うし、ある程度、ホームランも打てるだろう。
ただ大きく異なる野球環境に対し、いかに適応していくか。特に私が心配するのは変化球の質の違い。日本のボールは自然に曲がるが、向こうのは予期せぬ曲がり方をするんです。
ボールの材質に違いがあるのだろうけど、時折、ビックリするぐらい曲がる。曲がりすぎてストライクゾーンに入って来たり、外れたり。戸惑うことが多いと思う。
黒田博樹がメジャーで覚えたのがカットボールとツーシーム。カープにいるときはシュートを投げるのを嫌った男が、いざメジャーとなると、生き残るための手段として、こういう動くボールを身につける必要があった。
とにかく、変化しやすいボールの特性を生かすことを考えたんだろうね。ここに成功する大きなヒントがあると思う。
立場を変えれば、変化球への対応が非常に大事になってくるし、これさえクリアすれば成功できると言ってもいいくらいだ。
“メジャーではスピードで対抗”と考えがちだけど、それは昔の話かもしれない。
終盤に見せた横綱のようなどっしり腰を据えたスイング。しっかり呼び込んで振り切る誠也らしい打撃スタイルを忘れないでほしいね。
チームの主砲が抜けた穴。これは簡単に埋まるものではない。外国人選手の補強をアテにするわけにもいかないから、広島は全体の底上げを図る必要がある。
外野手にとっては大きなチャンスでもあるんだし、目の色を変えて、この空いたポジションを奪いにいってほしいね。
日本シリーズではヤクルトがオリックスを破って日本一になった。緊迫したシビれるゲームの連続だったね。2年連続最下位だったチームでも頂点に立つことができる。いいお手本になったのではないか。
カープはカープらしい野球でチーム力を上げていけばいい。自力で良い選手を育て、足で掻き回す地道な野球をやってきて、その結果、優勝を狙えるチームとなり、人気も上がってきた。
そういう良いところを忘れず、今までのカープスタイルで上を目指してほしいね。
選手たちも、どのようにオフを過ごしてキャンプに臨むか。鈴木誠也の穴を埋めようという意気込みを見せてくれるのはだれか。楽しみに拝見するとしましょう。