広島・鈴木誠 宇草に金言 マンツーマン自主トレで熱血指導 チームの未来託す
ポスティングシステムでのメジャー挑戦を目指す広島・鈴木誠也外野手(27)が5日、チームの次世代を担う後輩に熱血指導を行った。マツダスタジアムに隣接する室内練習場で宇草孔基外野手(24)と2人で自主トレを行い、守備が課題の宇草に「慌てるな」と“誠也流”の金言を授けた。移籍が実現すれば、外野のレギュラー枠が一つ空く来季。若鯉に助言を送り、チームの未来を託す。
静寂に包まれた室内練習場が、特別な空間へと変わった。鈴木誠と宇草の自主トレは、午後2時頃から開始。マンツーマンの約40分間は、野球への情熱と後輩を思う気持ちの表れでもある。主砲は「若い選手が頑張っている姿を見るのは僕にとってもプラス。たまには誰かとやって、刺激し合いながらやるのもいい」と振り返った。
マシン打撃の後は打撃投手を務め、その後はスローイング指導。宇草の守備について、ユニークなたとえで説明した。「(彼は)性格的に慌てる癖がある。人生において慌てるのは何もかも良くない。時間に追われて何かをすると、何か一つ忘れたりすることがある。それは打撃も守備も一緒で、余裕を持って行動すればいい」
キャッチボールでは送球自体に問題はないという。だが、試合になれば走者を刺したい焦りから、練習通りの送球ができていないと分析。その上で本人の性格も踏まえ、改善へのキーワードが「慌てない」という言葉だ。
「一つ慌てることで(今まで)できていたこともできなくなるのが感覚的なモノ。『そこは考えておかないと、いいモノが消えちゃうよ』と伝えた。とにかく時間(に余裕)を持って行動しろと」
宇草は昨年に右腓骨(ひこつ)を手術。今オフはその際に入れたプレート除去の手術を受けた。リハビリが4日に終わったことで、この日の“誠也塾”が実現。「誠也さんは、『全部つながっている』と考えている。何げないところで掛けてくれる言葉が(他と)少し違って、そういうところも見ているんだなと。いい意味で痛いところを突かれる」と感謝しながら振り返った。
今季は43試合に出場して打率・291、4本塁打。俊足に加えて一発長打を打てる魅力もある。だからこそ、守備力向上がレギュラー奪取には不可欠。鈴木誠は「アイツは打撃には自信があるので打席では余裕がある。それはいいんです。ただ、いくら打てても守備がダメだと試合に出られませんからね」と叱咤(しった)激励した。
自身は自主トレ中、キャッチボールでメジャー公式球を使用。「そんなに変わらない。少し滑るかな、ぐらい」と感触を伝えた。今後も互いの時間が合えば2人で練習を行う見込み。大黒柱と若手が刻む時間が、チームの将来を明るく照らす。