広島・九里 フォーム改造 歩幅を狭くし、悪癖克服へ 22年はキャリアハイ目指す
広島の九里亜蓮投手(30)が20日、新フォーム習得に意欲を示した。昨年から師事している動作解析の専門家「上達屋」を主宰するパフォーマンスコーディネーター・手塚一志氏に助言を受けて投げ方を改良。悪癖を改善するために、今オフから投球時に踏み出す歩幅を0・5足分だけ狭くした。投手主将を担う来季は、最多勝に輝いた今季以上の成績を目指し、試行錯誤を続ける。
不思議な感覚だった。九里は投球練習後に「違和感しかないです」と苦笑いする。それでも今季以上の成績を残すために決断したフォーム改良。自分を信じ、来春キャンプまでに固める意気込みだ。
昨年、動作解析を専門とする「上達屋」の門をたたいた。今年は14日に指導を仰ぐ手塚氏が来広。同氏の前でブルペン入りした。
新フォームは投球時に踏み出す歩幅を0・5足分狭くした。今季までの歩幅は「7足にいかないくらい」。距離にすれば15センチ程度。一見すると違いは分からないが、投げる感覚は全く異なるという。
「悪い時の癖は球がシュート回転してしまうところ。年間を通してなくすためにフォームを改善したかった」。シーズン終了後、手塚氏と今季を総括。話し合いの中から好不調の波を少なくするために挑戦を決めた。
昨オフに初めて動作解析を依頼して以降、体を縦回転させる意識をより強く持つようになった。歩幅を狭くすることにより、安定して横回転を防ぐことができる。加えて「調子が悪い時に右足が折れて、重心が低いまま投げてしまう」ことを防ぐ狙いもある。
ブルペンで投球練習などを見た手塚氏は「重心の移動が効率的。全てのエネルギーが指先に集約することがかなっている訳だから、体の操り方の訓練が実を結びつつある」と説明。継続することで球速アップにもつながると太鼓判を押した。
九里は今季、自己最多の13勝(9敗)を挙げ、自身初タイトルとなる最多勝に輝いた。来季は投手主将を担うことが決まり、責任感は今まで以上に強い。「勝ち負けは操作できないけど、防御率とか投球回とか、自分がレベルアップすれば改善していける」。今季の防御率は3・81と改善の余地がある。投球回149回は自己最多ながら、開幕前に掲げた170回には届かなかった。来季も自己最高成績を更新して、チームをけん引していく。
「(新フォームを)自分のものにしたい。良い方向にいくと信じて」。九里は力を込めて前を向いた。もっと大きな投手になるために、変化を恐れない。