カープ土俵際の男 危機迫る堂林に激辛アドバイス 北別府氏「最も厳しい立場にある」
大器と呼ばれて13年目。広島・堂林翔太内野手(30)が正念場を迎えた。鈴木誠也が残したポジションの争奪戦に参加できるのか。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「今シーズンで結果を出さなければならない最も厳しい立場に置かれている選手」と語り、キャンプでの全力アピールを促した。
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堂林は2020年に立派な数字を残しながら、どうして昨年はああなったかね。
あの打撃を見て“もうこれは大丈夫だ”と思ったもんですよ。年間通して、しっかりとした成績を残せる選手になったと。
それが完全な期待外れ。われわれも理解しかねるが、本人がいちばん情けなく思ってるだろうね。
20年に見せた打撃で、それまでと変わったと感じた点は、狙い球を決めて初球から仕留めにいっていたところにある。
思い切ったスイングができていたから長打も放っていた。凄いな、よくぞカベを乗り越えて成績を残せるようになったなと、感心していたもんですよ。
大きな期待を背負いながらも、それに応えきれずに苦しんでいた状態から抜け出したように見えたけどね。
でも今は、どう打ちたいのか、何を狙っているのか、どのように考えているのか、本人に迷いがあって、まったく見えなくなっている。
最もシンプルに自分のいいところを見極める。そして人のよさを捨てて、迷いも捨てれば必ずやまたやれるはずだ。
(堂林の20年の成績は111試合で401打数112安打、14本塁打、58打点。打率・279。21年は70試合で137打数26安打、0本塁打、5打点。打率・190)
この2年間、天と地ほどの違いがある。いいときは右中間方向へ強い打球が飛んでいたし、内角の球もうまくさばいて左方向へ運んでいたが、昨年はそれができていなかった。
打撃の形を崩されているように感じたね。崩された結果、最後は外角の変化球で打ち取られる、かつてのパターンにはまっている。
今年で13年目になるが、そのわりにはバッティングがまだ“若い”よね。ベテランの域に近づいているのに“こんな球に手を出すか”というようなボール球を振っている。焦りもあるんだろう。精神的な問題かもしれない。
今年は2年前を思い出し、初球から狙い球を絞って積極的に打ちにいこう。投手がボールを置きにいかず、腕を思い切り振るのと同じように、しっかりとしたスイングをする。強いスイングで迷いを振りほどこうよ。
佐々岡監督は今年が3年目。勝負の年と捉えているはず。結果が出ない、使えないと判断されたら、その瞬間に居場所がなくなるかもしれない。
堂林は、今シーズンで結果を出さないといけない厳しい立場に置かれている筆頭格の選手だけに、キャンプからオープン戦にかけて猛アピールする必要がある。
新年から耳に痛い話をするようだが、今村がこのオフ、30歳のシーズンを最後にユニホームを脱いだ。堂林と同い年だけに人ごとではないはずだ。
鈴木誠也が抜けて、チームは長打力が大きく落ちるだろうが、堂林の魅力はパンチ力にある。内野でも外野でも、出番を探して挑戦する。そして、今いるこの土俵際から一気に盛り返す。意地を見せてもらいたいね。