鈴木誠也 レッドソックス移籍有力 4年ぶり世界一奪回の切り札に
広島からポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指している鈴木誠也外野手(27)の移籍先にレッドソックスが有力となっていることが25日、分かった。この日はマツダスタジアムを訪れ松田元オーナーやスタッフ、チームメートらと最後のあいさつ。新労使交渉も進展が見られる中、いよいよ夢の実現が近づいてきた。
プロ入り以来9年間プレーしたマツダスタジアムをスーツ姿で訪れた鈴木誠は感慨深げだった。「楽しかったなぁというのと、いろんな思い出が詰まってるので。全員ではないですけど少しは会えた。コーチの方とかは会えないのでちょっと残念ですけど」。松田オーナーからはねぎらいや励ましの言葉を掛けられた。
夢の舞台であるメジャーリーグは昨年12月に、労使交渉が決裂し、ロックアウトに突入。鈴木誠のポスティングも交渉が停止している。そんな中ではあるが、複数のメジャー関係者から「スズキはレッドソックス」との情報が寄せられていることが判明。ロックアウトさえ終われば、契約にたどり着くとの見方が有力となっている。
名門レッドソックスにとって鈴木誠は是が非でも欲しい存在である。昨季はア・リーグ東地区2位。ワイルドカードで3年ぶりのプレーオフ進出を果たしたものの、リーグ優勝決定戦でアストロズに2勝4敗で敗れた。オフには正右翼手のレンフロー外野手をトレードで放出。昨季31本塁打、96打点を記録した大砲だが、12失策と守備に難があり、鈴木誠の加入を見据えたものとみられている。
昨季、NPBで首位打者と最高出塁率の2冠に輝き、5度目のゴールデン・グラブ賞を受賞した鈴木誠。ミート力、長打力、走力、守備力、送球力を兼ね備えた「5ツールプレーヤー」の獲得はレンフローの穴を埋めるだけでなく、チームに大きなプラスをもたらすのは間違いない。4年ぶりの世界一奪回に向けた切り札ともいえる。
自主トレを続けている鈴木誠にとっても働き場所が決まらない現状はストレスが溜まる。1日も早くの思いは強い。
「決まってないので気持ちの入り方も正直、今までと違う感覚です。どこにモチベーションを持っていってやったらいいのかなと思います。ケガなくメジャーでやる。そういうイメージをしながらとは思っています」
この日古巣に別れを告げ、いつでも渡米できる準備は整った。メジャーリーガー・鈴木誠が誕生する日は近づいている。