広島の開幕投手が注目を集めている。４年連続を狙う大瀬良と昨年の最多勝右腕九里、侍ジャパンの金メダリスト森下による争奪戦だ。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「今年は本人に告げるのが遅れるかもしれない」と“エースの座”を目指す激烈な戦いを予想した。

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　大瀬良には昨年まで３年連続で開幕投手を務めたプライドがあるし、九里には最多勝のタイトルを獲得したという意地がある。森下には代表選手として活躍した自信がある。これは相当、レベルの高い注目の競争になるだろうね。

　日南キャンプが始まったけど、３人からは本気で開幕投手を目指している空気が、ひしひしと伝わってくる。当然でしょう。私も“オレが投げるもんだ”と勝手に決めていたからね。いかさんと機嫌を損ねていたもんですよ（笑）。

　それほどまでに大切な日が開幕なんです。大一番に強いのはだれか。ベンチの信頼度が最も高い投手はだれか。それが分かる日でもあるんです。投手出身の監督にとっては頭が痛いが、最高にうれしい悩みでもあるでしょう。

　シーズン通してローテーションの先頭で、３連戦のアタマに投げるわけだからね。開幕投手はやりがいもあるが、同時に責任も背負うという気構えがないといけない。

　（仮に大瀬良が開幕投手に抜擢されれば球団では長谷川良平、北別府学、黒田博樹以来の４年連続となる）

　（ちなみに広島の開幕投手最多回数は北別府氏の９。以下６回＝長谷川、５回＝外木場義郎、黒田、前田健太、４回＝大野豊、佐々岡真司。北別府氏の６勝はセ・リーグ最多。また１９８２～８４年の３年連続完投勝利はセ・リーグタイ記録）

　大瀬良は昨年、早い段階でふくらはぎを故障し、波に乗り損ねたけど、最終的には１０勝を挙げて形を整えたよね。後半は内容もよかった。

　九里は力任せの投げ方から制球重視へ、投球内容が本当によくなっている。それが最多勝へつながり、今年は投手キャプテンという立場にもなり、チームの信頼を集めてきている。

　森下は相手２人が実績ある先輩であろうと関係ないと思っているんじゃないか。何といっても侍ジャパンの一員だし、昨年も開幕投手候補に名前が挙がっていたほどだ。

　（昨季の成績は森下が１６３回１／３で８勝７敗、防御率２・９８＝４位、大瀬良が１４６回２／３で１０勝５敗、防御率３・０７＝５位、九里が１４９回で１３勝９敗、防御率３・８１＝８位）

　勝ち星だけを見れば九里に分があるけど、だれが開幕を務めてもおかしくないぐらい、力量は接近しているように思う。

　開幕投手を語るにはまだ早いが、これだけ実力が伯仲していると、オープン戦の様子を観察して決めるということも考えられるね。そうなれば、昨年はキャンプ最終日の３月１日に行った本人への通達が、今年は多少遅れるかもしれない。

　こんなぜいたくな悩み、ワクワクしてたまらないね。この“三つどもえ”の開幕投手争いを私も注目して見ていきたい。