手術明けの広島・岡田「レベルアップできそう」
広島の岡田明丈投手(28)が、右肘手術からの復帰へ向けて階段を1つ上がった。昨秋に「右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術・屈筋腱断裂修復・肘頭骨棘(こっきょく)切除」(通称トミー・ジョン手術)を受けた。春季キャンプ終盤の2月下旬からネットスローを始め、その距離を伸ばしている。今秋以降の実戦登板を目指して、じっくりとリハビリを進めていく。
小さな一歩でも確かな一歩だ。岡田は大野練習場でネットに向かって腕を振った。その距離は約10メートル。ゆっくり、丁寧に投げ込んだ。
「1日1メートルくらい伸ばしながら、1週間で5メートル伸ばしていければ。今のところは何もないので順調ですね」
がっちり固められた右肘のギプスを外したのは昨年12月。ネットスローはキャンプ最終クールの2月25日から始めた。「うれしいというか、懐かしい感じ。そういう気持ちの方が強かった」。久しぶりの投球に心が躍った。
10月27日に「右肘内側側副靱帯再建術」の手術を受けた。同年秋のみやざきフェニックス・リーグで右肘を痛め緊急降板したのが原因だった。
「もう全部切れきってしまったので、投げられるレベルじゃなかった」
大きな故障はこれが始めて。右肘にメスを入れる決断に迷いなかった。「引退か手術の感じだったので、やらないと始まらないと思った。やるしかない。それ以上でもそれ以下でもなかった」
チームにトミー・ジョン手術から復帰した選手は多い。床田、高橋昂、戸田だ。彼らの存在は心強く、その過程を知ることも心の支えになった。
マエケン(ツインズ)の話にも耳を傾けた。かつてのエースは自身と同時期に同じ手術を受けていた。「どんなですか?と聞いて。参考になりました」。中田を通じて聞いた前田の、復帰への道のりも参考になった。
肘を動かせる範囲は日に日に広くなっており、日常生活を送る上での支障はない。気を配るのはゆっくりとしたペースでリハビリを進めていくことだ。
キャッチボールの再開やブルペン投球などは、まだ先。投げられない時期は下半身強化など厳しい体作りのメニューが待っている。
「体を作り直せるという捉え方。レベルアップできそうだなと思っています」。前を向く姿が何よりも頼もしかった。
◇岡田明丈(おかだ・あきたけ)1993年10月18日。投手。右投げ左打ち。身長185センチ、体重91キロ。中学時代に野球を始め、大商大高で投手に転校。大商大に進学後の4年に才能が開花し、関西六大学秋季リーグ戦で2季連続優勝に貢献した。15年度ドラフト1位で広島から指名を受けた。