カープ 天敵・伊藤将攻略! 13安打8点で29年ぶり開幕5連勝
「広島8-3阪神」(30日、マツダスタジアム)
広島が逆転勝ちで93年以来となる開幕5連勝を飾った。1点を奪い1-1で迎えた六回2死一、二塁で会沢翼捕手(33)が右中間へ勝ち越し適時打を放った。昨季4度対戦し0勝3敗と苦しめられた伊藤将を攻略し、13安打8得点で快勝した。4年ぶりとなる開幕からの2カード連続勝ち越しも決め、がっちり首位を堅守。快進撃が止まらない。
食らいついた。強い気持ちが打球を右中間へ運んだ。一塁塁上で、会沢は右拳をグッと握り一塁コーチャーの小窪内野守備走塁コーチとグータッチを交わす。昨季苦しめられた伊藤将を攻略。執念で放った逆転の一打だ。
「良い投手だと少ないチャンスをいかにものにできるか。それを前の打者の坂倉がいい形にしてくれた。何とか打てて良かった」
1点を奪い1-1で迎えた六回2死一、二塁で打席に立った。速球で追い込まれ、外角へ落ちるチェンジアップをはじき返した。
昨季、伊藤将には4試合で0勝3敗と苦しみ、この日も五回まで2安打に抑え込まれていた。六回は西川の中前打からつなぎ、つくった逆転機。思いをバットに込めた。
「この悔しさをどこにぶつけるかと考えたらシーズンしかない」
強い決意で臨む今季。原動力は昨年、故障で出場できなかった東京五輪の悔しさだ。内定メンバー発表前日の6月15日・西武戦。挟殺プレー中に左足を痛めた。診断結果は左下腿(かたい)腓腹筋挫傷の大けがだった。
19年秋の「プレミア12」では正捕手として世界一に貢献した。東京五輪でも主力として期待されていた。「夢だったんで…」。内定辞退を決断。失意の底に落ち込んだ。
それでも「ケガをして、もう一度、野球の神様が『しっかりやれよ』と言ってくださった」。故障を転機に改めて自らを見つめ直し、準備を整えて今季を迎えた。「個人的な目標はチームに数多く貢献すること。優勝したい」。その気持ちただ一点でグラウンドに立っている。
打線は13安打8得点。チームは27日のDeNA戦から3試合連続で逆転勝利。開幕5連勝は93年以来29年ぶりだ。2カード連続での勝ち越しを決め、貯金は「5」。首位をがっちり守った。
会沢は真っすぐな視線で言葉を紡いだ。「負けていいってことはまずないので。しっかりと1試合1試合、勝てるように一丸となってやっていくだけ」。強いカープを証明する戦いは、始まったばかりだ。
◆29年ぶり開幕5連勝!逆転の鯉! 開幕5連勝は、球団記録となる開幕6連勝した1993年以来、29年ぶり。ちなみに、この年は山本浩二監督の5年目のシーズンで最終的に最下位に終わっている。また、この日で27日のDeNA戦から3戦連続逆転勝ち。