カープ中村奨成 プロ初猛打賞 これは覚醒ホンモノ!3日連続の大暴れ
「広島1-4オリックス」(3日、マツダスタジアム)
広島の中村奨成捕手(22)がプロ初の1試合3安打、猛打賞を記録した。プロ初の右翼に入り、西川に代わって2度目の「3番」でスタメン出場。初回に先制の中前適時打を放つと、三回に中前打、五回にも左前打と快音を響かせた。チームはオリックスに10連敗を喫した中、キラリと光る活躍だった。
3夜連続で広島の夜空に響かせた快音にスタンドが沸いた。中村奨がプロ初の1試合3安打で猛打賞を獲得した。起爆剤として再昇格して4日。期待に応える姿に、存在感は大きくなっている。
「良いものが続いていたので、それを続けようとしている。きょうは、たまたま3安打につながった」
初回1死三塁で中前適時打。三回1死一塁は外角速球に逆らわず中前打だ。勢いは止まらない。五回2死からは失投を逃さず左前へ運んだ。
不動の3番・西川が前日2日の日本ハム戦で途中交代。好調さを買われ3番に抜てきされた。それでも「すごくうれしいことだし、龍馬さんも心配。何とかカバーできるようにと思った」。バットのヘッドの出し方など2軍で磨いてきた打撃を表現するだけと心に決めて平常心で打席に立ち結果を残した。
右翼手としてのスタメン出場はプロ初で、守備も無難にこなした。佐々岡監督は「ファームでしっかり結果を残して上がってきた。チャンスを自分でものにしている」と目尻を下げた。
「自分に甘えがあった。何であんな時間を過ごしたんだろうと思う」。開幕前、中村奨はそう言葉を紡いだ。
華々しい活躍を経て地元球団に入団。1軍に初昇格したのは3年目の20年だった。入団から2年間は野球だけに全力投球していたとは言えない。遊びたい気持ちも、どこかにあった。
3年目を前にした20年1月に、目にした鈴木誠の「3年以内に(1軍の試合に)出られなかったらクビになると思っていた」という記事に危機感を覚え、ふるい立った。甘えを捨てて本格的な肉体改造に着手。バットも黙々と振った。その年は4試合に出場。1軍を経験したことで、その思いはさらに強くなった。
「とにかく試合に出させてもらっている立場なので、何とかチームの勝利に貢献できるように。やっぱりチャンスなので、そのチャンスをつかめるようにしたい」。背番号22は真っすぐに前を見つめて言い切った。ひたむきグラウンドに立ち、自らの道を切り開いていく。