広島・森下 笑顔の29球 真っ向勝負で清宮にサヨナラ被弾 緊急出場球宴やり切った

 9回、清宮にサヨナラ本塁打を浴びて苦笑いの森下(撮影・堀内翔)
 試合後、ヒーロインタビューの日本ハム・清宮から感謝され笑顔を見せる広島・森下(中央)=撮影・田中太一
 サヨナラ本塁打を放った日本ハム・清宮を祝福する広島・森下(撮影・神子素慎一)
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 「マイナビオールスターゲーム2022・第1戦、全パ3-2全セ」(26日、ペイペイドーム)

 第1戦が行われ、補充選手として急きょ出場が決まった広島・森下暢仁投手(24)が八回から登板した。2イニング目となった九回、2死から真っ向勝負を挑んだ清宮にサヨナラ本塁打を被弾。悔しい幕切れとなったが、それでも右腕は力を出し切った29球に終始、すがすがしい笑顔を浮かべた。

 小林(巨人)のサインに何度も首を振った。森下が選択したのはもちろん直球。九回2死。カウント1-2からの5球目、真ん中低めに投じた154キロは日本ハム・清宮に左中間ホームランテラスに運ばれた。

 球宴ならではの力対力の勝負。悔いはない。サヨナラ弾にもすがすがしい笑顔さえ見せた。ホームに向かう清宮に思わず拍手を送った。

 23日・ヤクルト戦で6回を投げ8勝目を挙げたばかり。中2日での登板は八回からだった。ロッテ・松川を154キロで遊ゴロ、代打・レアード(ロッテ)は153キロを左前打。オリックス・宗には追い込んでから今季最速の155キロで押し込み左飛に打ち取った。ソフトバンク・牧原大も153キロで捕邪飛。ここまで変化球はわずか1球だけ。力勝負を楽しんだ。

 森下は以前、もしもリリーフに転向したならば、を話したことがある。

 「リリーフなら全部三振を取りにいくかもしれません。これまでのMAXは156キロですが、1イニングだけならMAXを出してみたい。狙いにいくかもしれないですね」

 野球少年の顔になって目を輝かせた。球宴が、自分の限界に挑戦する夢舞台となった。

 九回も続投。ロッテ・高部には粘られたが152キロで遊ゴロ、島内(楽天)は一ゴロ。あと一人取ればゲームセットのところでの清宮にサヨナラ被弾となった。

 試合後のヒーローインタビューで清宮が「森下さんがまっすぐ勝負してくださったので」と言うと画面越しに笑顔で頭を下げて見せた。もちろん、打たれた悔しさはあるが、それもまた野球。引きずることはない。

 2度目の球宴は満喫した。第2戦は同僚・床田の応援にまわる。そして勝負の後半戦が待つ。

 ここまで8勝5敗。チームトップタイの勝ち星を挙げているが、決して満足はしていない。5月末から4連敗のあと4連勝で巻き返した。チームも5割でターン。ここからは貯金をいかに増やせるかが、首位ヤクルト追撃のカギになる。全力で投げた夢舞台の感触は封印して、チームを勝利に導く投球に徹する。

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