苦境の広島 佐々岡監督に今こそ問われる采配力 北別府氏「1点にこだわる作戦を」
「広島6-5阪神」(6日、マツダスタジアム)
広島が抑えの岩崎を崩して長いトンネルを抜けた。しかし、3年ぶりの7連敗を記録するなどペナント後半に入るなり急失速。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「ベンチは1点にこだわる作戦で現状打破を」と語り、佐々岡監督の“采配力”に視線を向けた。
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何とか連敗を止めたけど、後半戦は重苦しい状況が続いているね。点が取れず、逆に取られる展開が増えている。
投手陣は味方が点を取るまで我慢するしかない。何とか踏ん張って投げないと、その先に勝ちは見えてこない。
攻撃に関しては、点が取れないならワンチャンスを活かす工夫をして、相手を乱していかなければ。
打てないと判断したら、勝負をかけるために早めに代打を送るとか。打順をいじるとか。メンバーを変えるとか。とにかく何かをやらないと。
佐々岡監督は選手を信頼し、細かいところは任せているね。前半戦は打線につながりがあり、それでよかったかもしれないが、つながりが消えたときこそ“采配力”が問われると思う。
1点にこだわって、その1点を取りにいく作戦がほしい。スクイズでもいいし、盗塁やヒットエンドランで仕掛けていってもいい。
DeNA戦では1点取れば勝ちゲームにもっていける場面で動かなかったね。結局、延長戦で敗れて疲労感だけが残ってしまった。
(3日のDeNA戦は5-5で迎えた九回表一死一塁で、一塁走者に曽根を代走起用しながら動かず、結果的に上本の投ゴロ併殺打で無得点。盗塁、エンドラン、バントなど選択肢は複数あった)
選手は采配を振ることはできないからね。むしろ負けが込むと縮こまってしまい、本来の力が出せなくなるもの。
サインを出すのはベンチだし、選手を動かすのは監督とコーチ。選手任せでは大事な局面を動かすことはできないでしょう。
もちろん、ベンチは我々周囲が見ている以上に、今回の連敗を重く受け止めていたはずだし、何十連敗もしているように感じていたと思う。バタバタと崩れてしまいそうな危うさがあったからね。
たとえ優勝は難しくても、CSという次の目標があるのだから、最後まで望みをもってプレーしてほしい。負け癖がついてしまえば最下位だってある。
昔、古葉(竹識監督)さんがよく言っていた。この先に必ずもうひとヤマあるからと、ハッパをかけるとともに選手の士気を高めていた。
そうすると、その言葉どおりになるんですよ。どんな根拠があったのか知らないけど、そうやって緊張感を保つのも首脳陣の仕事。
連敗ストップには、選手たちの諦めない気持ちが見えていたね。小園や会沢、上本が打って秋山が決めてくれた。
秋山の笑顔にこの先、期待できそうな予感がしたね。カープの巻き返し、まだまだあると、6日の試合でそう思えた。