【安仁屋'sチェック】先発起用も面白いケムナ、薮田、ターリー

 カープが苦境にある。球宴を挟んでの大型連敗で、そこまでの貯金が一気に借金生活となった。またここまでチームを引っ張ってきた床田寛樹投手(27)も故障離脱。100試合を超え、残るおよそ40試合をどう戦うか。本紙評論家・安仁屋宗八氏(77)が持論を展開した。

 オールスター前には想像もできなかった失速で借金を増やしたカープだが、わずかでも夢がある間は、優勝を本気で追いかける。その姿勢がないと、CS進出もおぼつかない。

 たしかに、先発陣で最も調子のよかった床田の離脱は痛い。足首の骨折ということで、今季中の復活を期待するのも酷かもしれない。

 ただ、全体を見渡せば、他に大きな戦力ダウンは見当たらない。前半、失点が目立った救援陣も少しずつ調子を上げてきている。打線もマクブルームに続き、6日には西川も戻ってきた。

 こういう時期、チーム状況だからこそ、佐々岡監督は大胆な手を打ってもいいのではないか。

 先発で言えば、遠藤も戻ってきたが、加えてケムナ、薮田にやらせても面白い。さらにターリーも強いボールを持っているだけに、行けるところまで行かせるような先発起用があってもいい。

 そうすれば、枚数という意味で床田の代役もいるし、少し調子を落としている大瀬良に、再調整の時間を与えることもできる。

 私個人の思いだが、佐々岡監督には少しでも長くやってもらいたい。勝利を追いかけると同時に、来季以降も見据えて戦力を「作る」というところもやって欲しいし、それができる選手がカープにはいる。

 同時に、日々の采配では、表現は悪いが「クビを覚悟」するくらいの思い切ったものにする時期に来ていると感じる。

 やはり強いチームは必要とあれば中心選手にもバントを要求する。それによりチーム全体にいい緊張感をもたらすケースが多い。カープは加えてチーム盗塁数も両リーグワーストだけに攻撃には工夫が必要。

 6日、阪神に逆転サヨナラ勝ちしたような連打、連打で勝てる日もあるが、それが果たして1年に何試合あるのか。それよりも、盗塁の成功率を高めることも含めて、確実性の高い野球を追求することが必要だろう。阪神が後半、伸びてきたのも「ここぞ」という場面での仕掛けができるからだ。

 今までと同じ事をやっていれば、今まで以上の成績は絶対に出ない。1点を確実に奪いに行くための大胆な采配と、それに応えられる実戦に即した練習。今こそこれが求められる。

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