松山「おれやったよ!」劇的サヨナラ打でカープ3位浮上 根尾撃ちでコロナ禍のチーム救った
「広島1-0中日」(17日、マツダスタジアム)
雨中の延長十一回、広島・松山竜平外野手(36)が決めた。代打の切り札は、根尾の初球149キロを左中間へサヨナラ二塁打。自身20年11月5日・巨人戦以来のサヨナラ打で、チームは12球団トップとなる今季7度目のサヨナラ勝ち。1日以来の3位に浮上した。コロナ禍で離脱者続出の中、ベテランがチームを救った。
打球は雨を切り裂き、前進守備の外野を越え、左中間へ飛んでいった。松山は大歓声を背に両腕を上げて走った。
「とにかく抜けてくれ、と思ってました。ちょっと危ないなとは思ったけど、外野は前にいてくれたんで抜けてくれました」
0-0で迎えた延長十一回だった。1死から磯村が安打。韮沢が犠打を決めて2死二塁。ここで中日ベンチは6番手に根尾を告げた。ざわつくスタンド。ベテランは冷静だった。初球真ん中に来た149キロを逃さず捉え、勝負を決めた。
「(積極打法は)自分のいいところでもあるんで、そこは忘れずに、初球から思い切って臨みました」
通算77本目となる代打安打は自身にとって20年以来、2年ぶりとなるサヨナラ打になった。ヒーローインタビューでは決めゼリフの「鹿児島にいるじいちゃん、ばあちゃん、おれやったよ!」を絶叫、スタンドを沸かせた。
プロ15年目。代打稼業となっても、日々の努力に怠りはない。15日の投手練習。先発投手以外は休日だったが、炎天下のマツダスタジアムを黙々と走る松山の姿があった。前カードの巨人戦では出番は2度。いずれも守護神・大勢と対戦し二ゴロに倒れた。結果が出なければ、出るまで努力する。それが方法だと信じている。
二塁付近で繰り広げられた歓喜の輪。いつもイジリに来る背番号33の姿はなかった。
「たぶんキクがいたら来てないかもしれないですけど、キクがいないんで、みんな走ってきてくれましたね」
コロナ禍で佐々岡監督をはじめ菊池涼、野間、上本、この日は白浜とチームメートたちが次々に離脱していく。苦しい戦いには違いない。それでも下を向くつもりはない。必死に白球に食らいつく若手たちの姿にも触発されるという。
「一人一人できることを一生懸命やることだと思います。代打の場合なら1打席、できることをやろうと」
背番号55の背中がいつも以上に頼もしく見えた。
◆12球団最多7度目 広島のサヨナラ勝利は今季7度目となり、並んでいたロッテを抜いて12球団最多に。球団ではサヨナラ勝利12度だった19年以来、3年ぶりとなった。また今季延長戦は6勝5敗3分け、勝率・545。