菊池涼 広島救った代打V打 コロナから復帰大拍手「やるしかない」自力CS残した
「広島6-4巨人」(27日、マツダスタジアム)
負ければ自力CS消滅の危機の中、チームを救ったのはコロナ感染から戻ったばかりの広島・菊池涼介内野手(32)だった。同点に追いつかれた直後の八回無死三塁から代打で登場すると決勝の右前適時打。13日ぶりの打席も関係ない。やっぱりこの男は頼りになる。1試合3本塁打以上なら7連勝となった。
その瞬間、スタンドからひと際大きな拍手がわき起こった。代打・菊池涼。新型コロナウイルス陽性判定を受けて16日からチームを離れていた。打席に立つのは14日・巨人戦以来。そんな不利な状況も関係なかった。
カウント2-2からクロールの外角150キロに食らいつき、前進守備の一、二塁間をしぶとく破る安打で決勝の1点をもぎ取った。派手なガッツポーズはない。一塁上でかみしめるように小窪コーチと手を合わせた。
「バットに当てたら何かが起こると打席に入った。当たってくれました」
試合は取って取られてのシーソーゲーム。どちらに転んでもおかしくない雰囲気の中、仲間の復帰を祝うように坂倉、西川、矢野の3本塁打などでリードした。ところが、八回に初めて2点差で登板したルーキー松本が同点に追いつかれた。重い雰囲気が漂う中、ひと振りで救ってみせた。
お膳立ては主力に代わって穴を埋めてきた大盛。八回先頭で荒れ球のクロールの投球が顔面付近をかすめる中、ひるまず中堅越えの三塁打を放った。
「危ない球もあったが、球に対してしっかり打ちにいけました。キク(菊池涼)さんなら何とかしてくれると思ってました」
菊池涼はそのときの思いを明かす。
「みのる(大盛)がセンターオーバー打ったとき、本塁までかえってきてくれないかなと、弱気な心で見つめていました」
弱気を奮い立たせてくれたのはやはりファンの大歓声だった。
「(療養中は)寂しかったし、プレーしたいなと思った。ここに立ったとき、みなさんの拍手、声援が力になるとあらためて思いました。まだ息が上がったりするところもある。練習もそんなにできていない。起用してもらっている以上、やるしかない」
同じくコロナ感染から佐々岡監督と小園も戦列に戻った。指揮官は「いい場面で回ってきて。あそこで、らしいというか。しぶとく、打ってくれました」と絶賛。残り23試合、頼れる男がチームを浮上へ導いてくれると確信していた。