捕手一本で再出発の広島・中村奨に北別府氏が激辛注文「人を蹴落としてでも」
広島・中村奨成捕手(23)は7月7日の出場選手登録抹消後、外野との“二刀流”から捕手一本に戻して再出発を図っている。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は「もっと自分の特性を生かしてアピールすること。周りはいつまでも待ってくれないぞ。結果を出せ」と厳しい注文をつけた。
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中村奨成が捕手一本でやり直すことになったようだね。足があったから外野手としての可能性もあると思っていたが、捕手に専念することで結果を出しやすくなるし、プラスと捉えていいのではないか。
昨年、1軍で初安打を放ち、初本塁打も記録。九里が完投勝利を飾った試合では最後までマスクをかぶり、捕手や外野手で頑張っていた。そのころは積極性があって1軍定着も期待されたけどね。
外野に本格挑戦した今年はすべてが中途半端で、小さくまとまっている感じだった。“俺はコレが売りだ”という特長をもっとアピールしないと。まだまだパンチが弱い。
今年5年目の23歳にしては線が細く、まだプロの体になっていないようにも思う。食生活と練習量で体を大きくし、パワーを身につけてほしいね。
そして捕手に専念するからには体の線だけではなく、そこにいてくれるだけで投手が安心する、そんな器であるとこが必須。
捕手はキャッチング、肩、リードの3要素が必要と言われる。
キャッチングに問題があれば、投手は怖くてワンバウンドする変化球を投げられなくなる。だから“捕球技術”は徹底的に磨いてほしい。
肩に関して言えば、素速い動作でタッチしやすいところへ送球するコントロールが求められる。もっとも肩は強いほうだから、速さと制球力を身につけるしかない。(今年6月2日の日本ハム戦では1試合2盗塁刺を記録している)
不足気味のリード面は、今後経験を積んでいけば変わってくる。
捕手は守りの要だから、チーム全体を見る必要のある大事なポジション。だから育てるには時間がかかるし、逆にレギュラーを取れば、しばらくは安泰とも言われる。
しかし、現状は会沢のコンディションがよくないこともあり、正捕手争いは混沌としているね。こんな環境も中村奨成の再出発につながっているのかな。(今年6月、持丸泰輝捕手が支配下登録され、7月には中村奨成と入れ替わりで1軍登録された)
こうやって、周りの目は少しずつ自分よりも若い選手に向いていくものだ。
昨年度のドラフトでは高校生の捕手(高木翔斗)が指名された。中村奨成が一本立ちしていたら、こういう補強はなかったかもしれないけどね。
若いからと言って、いつまでも“来年がある”と待ってくれるわけではない。
彼を見ていて思うのは人の良さや優しさが先に立ち、リード面でも“ここぞ”の場面で内角を厳しくつけないでいる。それができるようになれば、投手も首脳陣も安心して任せることができ、チームの要になれるのではないかな。
これからは“もうあとがない”と思って、人を蹴落としてでも這い上がっていくような根性で、再度1軍を目指してほしい。彼が捕手として育ってくれたら、来季以降の大きな戦力となるのは間違いないからね。