広島ドラ2森「祈りが通じた」プロ初先発初星 5年ぶり快挙でチーム5連勝

 「中日1-3広島」(7日、バンテリンドーム)

 広島のドラフト2位・森翔平投手(24)=三菱重工West=がプロ初先発初勝利を挙げた。5回を3安打1失点に抑え、ルーキーの初先発初勝利は球団で2017年・加藤(現・矢崎)拓也以来、5年ぶりとなった。即戦力として期待された左腕が、逆転CS進出へ負けられない中、チームを5連勝へと導いた。

 五回を投げ切った森は、ベンチの最前列で願っていた。「本当に祈っていました。祈りが通じたと思う」。自身に勝利投手の権利が舞い込む2点が入ると、大きく手を挙げて喜んだ。5回3安打1失点でプロ初勝利。粘りに粘った末に女神がほほ笑み、「率直にうれしい」とかみしめた。

 立ち上がりは先頭の岡林に四球。暴投で無死二塁とされ、大島に右翼線適時二塁打を浴びてあっさり先制された。続く阿部にも四球を与えたが、ここからビシエドとA・マルティネスを連続三振。「あそこで2つアウトを取れたのは大きかった。(ワンバウンドしてもいい気持ちで)腕を振った」と強気で攻め抜き、最後は木下を遊直に仕留めた。

 尻上がりにリズムも生まれ、同点の五回は2死二塁でビシエドを二ゴロ。最速146キロの直球に緩い変化球をちりばめて最少失点に抑えた。小さくまとまっていたゲーム序盤の面影はなく「小手先で勝負してしまうので、ぶつかっていけるように」と若武者らしさを押し出した。

 その言葉は、恩師の教えを体現したもの。関大在学時、元阪急で阪神の1軍投手コーチも務めた山口高志アドバイザリースタッフ(72)から指導を受けた。精神面では「心は熱く、頭は冷静に。優し過ぎる」と何度も言われた。打者に対して堂々と勝負する。だからこそ、踏ん張れた。

 母校・鳥取商が甲子園に出場した今夏は、チームカラーの緑を基調としたTシャツを60枚ほど差し入れた。2軍生活が続いても、後輩を気遣う姿があった。部員たちは感謝しながら「Tシャツを汚してはいけない」と練習ではなく、移動やホテル滞在時に着用。大学、社会人と進んでも、年末の帰省時は必ず母校を訪れる。誠実な男は今、鳥取商唯一のプロ野球選手として色んな人の夢を背負っている。

 佐々岡監督は「十分な働き。粘り強く、走者を出しながらも最少失点で抑えた。もう1回チャンスはあるんじゃないかな」と今後の先発起用を示唆した。記念球は「手渡しの方がいいと思う」とオフシーズンに両親へ直接渡す予定。「チームが勝てるような投球をしていきたい」と森。秋口の戦いに頼もしい新星が加わった。

 ◆森 翔平(もり・しょうへい)1998年1月1日生まれ、24歳。鳥取市出身。177センチ、80キロ。左投げ左打ち。投手。背番号16。鳥取商時代は1年夏からベンチ入りも甲子園出場なし。関大4年時に神宮大会準優勝。三菱重工Westを経て21年度ドラフト2位入団。6月12日・西武戦(ベルーナドーム)で中継ぎでプロ初登板。

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