【カープ】「ブレてない」坂田、ナックル仕上げる!
広島の坂田怜投手(22)がナックルの制球力向上を目指して練習に打ち込んでいる。中継ぎとして10日まで7試合に登板し0勝1敗、防御率6・14。球の握り方など工夫をこらしながらシーズンを過ごしてきた。今季は残り3週間。実戦で得られる成功や課題を成長の糧としていく。
試行錯誤が続く。坂田は、球の握り方や腕の振りを試しながらナックルのレベルアップに励んでいる。「まだまだ。試合の中で良い球を増やしていけるようにしたい」。前を向いて力を込めた。
球速は105キロ程度。「遅い方ですね。でも、それくらいの球速の方が精度をたもてる」。メジャー通算200勝を挙げたウェイクフィールドの球速も同程度だ。
悔しい経験を力に変えている。苦い記憶は代替選手として出場したフレッシュオールスターだ。六回から登板し1回2安打3四球3失点と打ち込まれた。
「(打ち取れる)可能性がない球が多かった」
リリースの瞬間の感覚は、いつも以上に良かった。それでも特殊球はボールからボールへと軌道を描いた。打者に見切られた結果、苦しい投球が続いた。「無回転になる確率は大学時代に比べたら多くなっている」。課題の1つが制球力だ。
登板後は投手コーチとともに映像を見返す。「ダメなときの腕の振りとかは違いがある。踏み出した足の位置も。そういう部分を確認しながら見ています」。イメージと実際の自分をすり合わせながら、理想の投球に近づけている。
ナックルは肩や肘に負担が少ないと言われている球種。普段のトレーニングはナックルボーラーだからこその取り組みがある。
肩回りや股関節の可動域を広げたり故障予防が目的の筋力トレは週1度程度。投球練習の時間を増やし技術向上に励む。不規則な軌道を描く球を自在に操れるようになるために腕を振り続けている。
8月27日のソフトバンク戦は1四球ながら1回無安打1奪三振無失点だった。「落ち着いて投げられたし、良い球を投げられた」。ここまでのシーズンで最も手応えがあった登板だった。
ナックルボーラーとして成功を収めると、強い思いで広島に入団した。「(気持ちは)ブレていないです」。1軍のマウンドを目指して戦う日々は続く。
坂田 怜(さかた・れい)1999年9月13日生まれ。埼玉県熊谷市出身。投手。右投げ右打ち。身長188センチ、体重90キロ。正智深谷高では2年秋から主戦を務め、中部学院大に進学。3年春に「バルサルバ洞動脈瘤(りゅう)破裂」で心臓の手術を受けた。その後ナックルボールを習得し、21年度育成ドラフト4位で広島に入団した。