カープ上本 延長十一回V撃 単独4位浮上 残り4戦逆転CSへ
「阪神4-10広島」(21日、甲子園球場)
広島が延長十一回の激戦を制した。1死満塁の好機をつかむと、上本崇司内野手(32)の勝ち越し適時打から4者連続適時打の猛攻で6点を挙げ、追いすがる阪神を突き放した。2試合連続となった延長戦の末、単独4位に浮上。3位・巨人との1ゲーム差を維持した。この勢いで残り4試合も勝つだけだ。
一塁上でヒーローは静かにこぶしを握った。
延長十一回、ついに巡ってきた絶好機。1死から会沢が四球。小園の犠打を岩貞が悪送球で一、三塁。さらに代打・磯村が四球で満塁とした。ここで上本は2ストライクと追い込まれながら岩貞の137キロ変化球に食らいつき、三遊間を抜く適時打。待望の勝ち越し点が入った。
さらに菊池涼も左前適時打、西川は中越え二塁打、代わった加治屋からマクブルームも中前2点適時打で続き、4者連続適時打の離れ業で計6点を挙げ、勝負を決めた。
4時間38分のロングゲームを制した。上本はヒーローインタビューで熱く語った。
「みんなが必死こいてつないでくれたのでここでかえさないと男じゃないと思って、とにかく弱気にならずに、食らいついていくという気持ちでいきました」
苦しい苦しい戦いだった。前夜の延長十回の死闘から一夜明け。甲子園に移動してきて同率の阪神との一戦。
先制されても坂倉、小園の一発攻勢で逆転。先発の森下も二回以降は立ち直り、流れを持ってきたかに見えた。
だが、1点リードの六回から登板の森浦が2死から梅野に同点弾。6試合連続登板の左腕を責めることはできない。
まさに総力戦だった。前日、2イニングを投げた矢崎、同じくイニングまたぎをした栗林も連投。逆転CS進出という大きな目標に向けて最後の力を振り絞っている。
上本がチームの思いを代弁する。
「あのすみません、何度も言いますけど、本当に負けられないんで、全員で1勝に向けて襲いかかる気持ちで必死に食らいついていきたいなと思います」
3位・巨人も勝ってゲーム差は変わらず。残り4試合。開幕前、評論家は軒並み最下位予想。その屈辱をバネに開幕ダッシュを決めた。あのときのように〝やっちゃろうや〟の精神ですべてを取りに行く。