広島・新井新監督 鯉党の心真っ赤に燃やす 5年ぶり奪冠へ「見ていてワクワクするチームに」
広島・新井貴浩新監督(45)=デイリースポーツ評論家=が12日、マツダスタジアム内で就任会見に臨んだ。現役時代に3連覇を支えた新指揮官は、ファンの心を赤く燃やす野球を理想に掲げ、チーム伝統の機動力野球と猛練習の復活も予告。4年連続Bクラスと低迷するチーム再建のビジョンを熱く語った。契約は1年で推定年俸は7000万円。背番号は未定。
柔和な笑みをたたえた表情が、真剣なまなざしに変わる。にじみ出たのは強い決意とカープ愛。かつて広島を熱気に包んだチームリーダーが、監督として赤い街に戻ってきた。午後1時。新井新監督は紺のスーツに赤いネクタイ、赤い革靴に身を包んで登壇。「もちろん強いチームは当然ですが、ファンの方々が見ていてワクワクするチームにしたい」。背筋を伸ばし、熱っぽく語りかけた。
就任要請を受けたのは今季の順位決定後。「正直、驚いた」と振り返り「私は一回カープを出ています。それでもまた球団の方に戻って来いと言っていただいて、3連覇をさせていただいた。球団には恩がある。私には(断る)選択肢はなかった」と決断に至った経緯を明かした。
掲げたのは見る者全ての心を揺さぶり、胸を焦がす野球。「やっぱりファンの方が見ていて熱くなるような、心が燃えるような。皆さんを喜ばせ、皆さんの気持ちを真っ赤に燃えさせるように、がんばっていきたい」。3連覇時がそうであったように、またあの熱狂を生み出したい。広島の街から熱が冷めなかった期間。鯉党と一体になって勝利を追う。
そのために欠かせないのは、機動力野球の復活だ。今季のチーム盗塁数はリーグ最下位の26個。「カープの伝統は走り回る野球。(今季は走塁面が)寂しかったと思う。足が速い、遅い、盗塁ができるできないではなく、もっと走塁の意識を持ちながら(攻撃と走塁の)両面で相手チームに重圧をかけられるようなチームにしていきたい」と積極的な姿勢を求める。
また、練習量に関しても言及。「量も質も追いかけていきたい。寝ていてはうまくならないので。しっかり、たっぷり汗は流してもらいたい」と猛練習を予告した。
投手起用では先発投手の交代メドを例に「(中盤で)自分がイメージしている球数より増えたら、腹をくくって代えないといけないと思う。実戦の中で、いいことも悪いことも経験しないと成功しない。自分も腹をくくってしっかり我慢して来年やらないといけない」。指導者経験がない中での監督。覚悟を決めて采配を振る。
担うのは若手選手の育成に加えて、5年ぶりの覇権奪回。「カープのために、勝つために何がベストなのかを念頭に置いて、やりたい。そこを一番の基準として、そこだけはブレないように」。広島を愛し、広島に愛された新監督が、球場全体に興奮をもたらす。
◆新井 貴浩(あらい・たかひろ)1977年1月30日生まれ、45歳。広島県出身。現役時代は右投げ右打ちの内野手。広島工から駒大を経て、98年度ドラフト6位で広島入団。2008年にFAで阪神移籍後、15年広島復帰。18年現役引退。本塁打王1回(05年)、打点王1回(11年)、最優秀選手1回(16年)、ゴールデングラブ賞1回(08年)、ベストナイン2回(05、16年)。NPB通算成績は2383試合で2203安打、319本塁打、1303打点、打率・278。06年WBC・08年北京五輪日本代表。