広島ドラ6長谷部をプロに導いた反骨心 杉田玄白の子孫!エースになれない悔しさ胸に

 広島に育成選手を含め10人の新人選手が来季加わる。中京大中京、慶大とエリートコースを歩んだドラフト6位・長谷部銀次投手(24)=トヨタ自動車=を支えたのは「反骨心」だった。

 気持ちを前面に押し出す投球スタイルが、長谷部の真骨頂だ。「どんな場面でも、ひるまずに自分の投球ができるのが強み。そういった部分を出せていけたら」と強気の投球をプロの舞台でも貫く。

 植物の研究をしている父が、縁起がいい「銀杏(いちょう)」から銀の字を取り、次男ということで「銀次」と名付けられた。高校、大学、社会人、それぞれ強豪チームで鍛錬を積んできた中、分岐点は大学時代にさかのぼる。

 高校時代までは、ガムシャラにハードな練習をこなしてきた。だが「大学からは『どうやったらうまくなるんだろう?』『どうしてあの人はうまいんだろう?』と考えるようになった」と、一歩引いた視点で野球を分析するようになった。

 「体の使い方であったり、力の出し方を結構考えた。いろんな人にも聞いて。うまくいかなくても『なぜ、うまくいかなかったんだろう?』というところに戻って、次トライする。『こうすれば、うまくなるんじゃないか』と仮説を立てる、プロセスを踏むクセがついた」

 目で見て、自分なりの考えを出してから実践。順序立て、頭の中で理論を描きながら上達への道を模索する。そして「トヨタ(自動車)でそこを洗練させてもらった」と、社会人野球の名門でその循環に磨きをかけた。それぞれのステージで培ったものが力となり、成長を支えた。

 野球を始めてからというもの「どのチームでもエースになり切れなかった。僕自身、自分を全くエリートだと思わない。本当に悔しい思いを持ち続けて、ここまでやってきた」。負けん気の強さを胸に刻み、プロとしてのスタートラインに立った。

 母方の先祖は解剖学の「解体新書」で知られる江戸時代の蘭学(らんがく)者、杉田玄白という経歴。祖先が学術系の道を突き詰めた事実は、自身にとって励みにもなる。「自分ができることを積み重ねていって、その結果、数字がついてくればいい」と長谷部。広島の地で躍動を続け、歴史にその名を刻む。

 ◆長谷部 銀次(はせべ・ぎんじ) 1998年7月29日生まれ、愛知県岡崎市出身の24歳。184センチ、85キロ。左投げ左打ち。投手。岡崎市立竜美丘小学校4年時にソフトボールを始め、竜海中では軟式野球部に所属。中京大中京、慶大、トヨタ自動車を経て2022年度ドラフト6位で広島に入団。

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