新井監督 2m炎の前で絶叫リピート「広島優勝 心願成就」 護摩行20年目に挑んだ思い
広島・新井貴浩監督(45)が19日、和歌山県高野町の高野山清浄心院で監督として初の護摩行に挑んだ。現役時代の2004年から欠かさず続け、今年で節目となる20年目。池口恵観大僧正(86)から「勇猛精進(ゆうみょうしょうじん)」の言葉を授かった指揮官は「広島優勝 心願成就」と絶叫しながら、チームの日本一への決意を強くした。
2メートル近い炎が目の前で激しく揺れる。全身に迫ってくるのは、燃えさかる火柱。顔をしかめ、まばたきを繰り返す。毎年の苦行に、新井監督は今年も辛抱し続けた。
2004年から始めた護摩行は今年で節目の20年目。「何回やらせていただいても苦しい行だし、心がグッと引き締まる思い」。やけどで顔一面は真っ赤に膨れ上がった。それでも荒行を終えた表情は、どこか澄み切っていた。
約1時間40分に及んだ荒行。炎がひときわ高くなった中盤にと、指揮官は池口恵観大僧正が選んだ「広島優勝 心願成就」の言葉を繰り返し叫び続けた。
「優勝するため、日本一になるために、護摩行をやらせていただいた。本当に全員ケガなく、元気にグラウンドを暴れ回ってほしい思いだった」。絶叫の中に宿した思いは、頂点に立つ気迫とナインの無事。チームを束ねる男として、決意を新たにした。
わらにもすがる思いで護摩行を始めた04年。翌年に本塁打王を獲得した。当時を知る池口恵観大僧正は今回「勇猛精進」という言葉を授け、「優勝を目指してもらいたい」と背中を押した。
18年の現役引退後も炎と向き合ってきた理由は「やらないと自分がダメになっていきそうで」。苦しく、怖い気持ちは今も同じ。それでも継続することの大切さを感じていた。
「苦しいからと言って、どこかで(期間が)切れていたら、心の張りがなくなってしまう。この苦しい行から逃げずに自分も頑張ってきたんだ、ということが自信になる」
長丁場のシーズン、我慢の時期が訪れることは承知の上。「うまくいかない時の方が、はるかに多いと思うから。そういう時に自分の気持ちが『もうダメだ』、『まだ(へこたれるのは)ダメだ』と前向きになれる」と、厳しい戦いに耐え抜く精神を培ってきた。
「ここで一気に気持ちを締めて、キャンプに入っていく。カープと選手のため、心と体体をフル回転させて頑張っていきたい」。何があっても動じない。不屈の炎を心にともした新井監督が、心願成就に向けて突き進む。