「来年こそ」北別府氏が沖縄出身勝利投手第1号 安仁屋宗八氏の野球殿堂入りを願う
元阪神のランディ・バース氏が野球殿堂入り。好敵手の1人だった北別府学氏(デイリースポーツウェブ評論家)も祝福の言葉を贈ったが、同じ競技者表彰のエキスパート部門で得票数に届かなかった広島OBの安仁屋宗八氏には「何としても選出されてほしかった」と残念そうに話していた。
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バース氏が選出されて驚く人はいないでしょう。むしろ遅いぐらい。残した成績だけでなく優れた人格の持ち主でもあるからね。
本当に凄かったですよ。ホームランは打つし、ヒットも簡単に打つ。それでいて憎めない。
ただ私は相性がよかったのか、結構抑えていると思いますよ。あまり打たれた記憶がない!大打者でしたが、何かと私をリスペクトする発言をしてくれたし、感謝しています。
(北別府VSバースの対戦成績は83打数21安打8打点2本塁打で打率・253。2度も三冠王に輝いた選手が相手だけに抑えていると言える)
当時、阪神ファンには憎たらしいと思われていたようだけど、彼を怖いと思ったことはあまりない。満塁で迎えても不思議と落ち着いて対峙できていた。
追い込んだあとのボール球。これを振らせようと狙っていたんです。その前にインハイへ、アウトカウントを確実に取るための布石として計算して投げていた。この攻め方は、強打者を迎えた時にわりと使えましたよ。
特にタテに割れる緩い球。カーブを効果的に使った。ヨコの揺さぶりにはついてきていたように思う。
強打者に対して簡単に打たれる投手は、ストライクゾーンで勝負しようとする傾向にあるんです。
ボール球とストライクゾーンへの投げ分けなど投球の妙であったり間であったり、強打者ほど慎重に投球していたものです。
しかし、バース氏が殿堂入りするのは当然としても、もう1人、ぜひとも選出されてほしい方がいた。それはカープの先輩、安仁屋さん。選出されなかったのは残念としか言いようがないね。
安仁屋さんは沖縄からプロ野球の世界へ飛び込んだ先駆けの人。沖縄出身の勝利投手第1号となった人です。
その後、多くの選手が球界入りし、ホームラン王まで誕生しているけど、それもこれも安仁屋さんの成功があったからこそでしょう。
私は幸運なことに、比較的早めに殿堂入り(2012年競技者表彰)させていただきましたが、タイミングを逃すと年齢の若い候補者が増えるわけだし、それだけチャンスが少なくなっていく。
できることなら早めに。元気なうちに選出されれば。まあ安仁屋さんはまだまだ元気だけどね。(笑い)
安仁屋さんと言えばイメージ通りの豪快な人だった。
投手コーチをしているころは、とにかく“結果はグラウンドで出せ”“投球内容で示せ”という人で、あとは何をしようが自由。
遠征中など疲れてホテルにいようものなら“何をしょんぼりしとる。外へ出て気分を晴らしてこい”と言って部屋からたたき出すタイプだったからね。当然、門限なんてなかった。
それでチームは強かったんだから、みんな信じてついて行ったものですよ。
チームへも野球界へも貢献度の高かった安仁屋さん。来年こそ選出されることを願ってます。